個人再生

個人再生のデメリットとは?他の債務整理との違いとは?

借金の金額が大きい場合、任意整理では返済目処が立たないため、借金の減額幅がより大きい「個人再生」での債務整理を検討するも多いと思います。

しかし、個人再生には借金の大幅な減額というメリットだけでなく、デメリットもあります。

そのため、きちんと他の債務整理と比較検討をした上で、最良な方法を選択することが大切です。

ここでは、個人再生の特徴、デメリット、注意点などをご紹介していきます。

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個人再生の特徴とは?

借金の金額が大きく、返済が難しい場合、借金の減額幅がより大きい個人再生の方法を検討する場合も少なくありません。

しかし、個人再生には利用条件があり、手続きも複雑で手間がかかります。また、家族、知人、会社に知られる可能性が高く、私生活に支障が出てしまうというデメリットがあります。

個人再生を利用するには、事前にこれらを考慮した上で選択する必要があります。

個人再生とは、裁判所の承認を得て、借金を大幅に減額してもらい、残りの借金を3年程度で返済していく手続きです。

民事再生法で規定されている企業の再建手続きを参考にして制定され、2001年4月に施行された手続きです。

個人再生の特徴の一つは、任意整理のように、借金の減額交渉をする債権者を選択できないことです。そのため、友人や知人から借金をしている場合も手続きの対象になります。

もう一つ大きな特徴として、住宅ローン特則が利用できることです。住宅ローンを利用して自宅を購入している場合、持ち家を処分せずに債務整理の手続きができます。

個人再生の手続き方法と申立ての必要書類とは?

個人再生は債務整理の中でも手続きが複雑です。

どのような方法で手続きが進んでいくのか気になる人も多いでしょう。

個人再生の手続きの一般的な流れは次のようになっています。

  • STEP1.弁護士・司法書士に無料相談
  • STEP2.個人再生の申し立て
  • STEP3.手続きの開始決定
  • STEP4.再生計画案の作成
  • STEP5.再生計画の認可

個人再生は、利用条件があるため、まずは専門家に相談した上で、本当に個人再生が利用できるのか、最も適した手段なのか確認しましょう。

次に、他の債務整理と同じように「債権調査」を行います。

その後、必要書類を準備して、裁判所に個人再生の申立てをします。

申立手をする裁判所は、原則、申立人の住所地を管轄する地方裁判所になります。

ただ、個人事業者で営業所を設けている人の場合、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所へ申立てをします。

個人再生の申立てをする場合、申立書と必要書類を裁判所に提出する必要があります。

次のような書類が必要になります。

個人再生の手続きで必要な書類と概要

  • 申立書:申立人を特定する
  • 陳述書:職業、収入、財産を示す
  • 債権者一覧表:借入先をまとめる
  • 家計簿:家計収支をまとめる
  • 財産目録:申立人の所有財産を示す

申立書には、本人の氏名と住所、申立の趣旨や理由などを記載します。

陳述書には、本人の勤務先や収入などの属性、家族構成、借金額、個人再生の申立に至った経緯などを記載します。

裁判所は、これらの書類を精査して、個人再生の開始決定をするか否かを判断するため、わかりやすく説得力があるように記載する必要があります。

また、財産目録は、現金・預貯金・不動産などの所有財産を記載します。

債権者一覧表を作成する場合は、債権者に漏れがないかしっかりチェックしなければなりません。どこからお金を借りているかという根本にかかわる情報です。

記載の大きな誤りがあると、信用にかかわるため、慎重に記載しましょう。

個人再生のメリットとは?

個人再生によって生じるデメリットは少なくありません。

そのため、中には個人再生をを躊躇してしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、個人再生にはメリットが多く、利用できる状況であるならば、個人再生を利用したほうがよいと言えます。

個人再生のメリットは次の2つです。

1.借金を大幅に減額できる可能性がある
これは、抱えている借金額によって免除額も変わります。
例えば400万円の借金を負っている場合、個人再生の手続きをすると最大100万円まで減額してもらえます。
減額幅が大きいため、この手続きによって分割返済ができることも少なくありません。

2.家を手放すことなく、債務整理できる
個人再生には、住宅ローン特則の手続きが設けられています。
この方法を利用すると、住宅ローン債務だけ、個人再生の対象から外せるのです。
個人再生は、居住している自宅を処分することなく債務整理をしたい人にとって、適した方法だと言えます。
ただ、住宅ローン債務は減額の対象にはなりません。そのため、通常どおり返済していかなければいけないことに注意が必要です。

ブラックリストに登録され、新規借入れができなくなる

個人再生だけでなく、債務整理をすると、一定期間、金融機関からお金を借りることができなくなります。

これは、信用情報機関が管理する個人信用情報に事故情報として記録されてしまうためです。

個人信用情報とは、人の属性や金融機関での取引履歴などが記録されている情報です。

現在の借金額、返済額、滞納、延滞、事故情報の有無から対象者の住所、氏名、生年月日、勤務先や年収まで、金融取引に関する詳細な情報が記録されています(※)。

金融機関は借入れの申込みを受けると、与信審査をする際に、申込者の個人信用情報を閲覧しています。

個人再生を含む債務整理をすると、事故情報として記録されるので、与信審査の時にその事実が明らかになります。

これは借金問題を抱えているということであるため、与信審査に落とされ、お金は借りられなくなります。

個人再生の場合、個人信用情報へ事故情報が記録されるのは、再生計画の認可決定が出たときからです。

(※)個人情報の懸念をされる方もいるかもしれませんが、お金を借りる場合、原則として「」に同意することになっています。お金を借りている方は、サービス利用時にこれに同意しているはずです。

ブラックリストに登録される期間とは?

しかし、永遠にブラックリストに登録されるわけではありません。いつまで登録されてしまうのでしょうか?

ブラックリストに登録される原因は、事故情報が信用情報機関に登録されてしまうことです。

そのため、事故情報が消去されれば、ブラックリスト状態は解消され、ローンやクレジットカードが通常通り、利用できるようになります。

事故情報が消去されるまでの期間については、各信用情報機関によって取り扱いが異なっており、概ね以下のようになっています。

事故情報が消去されるまでの期間
信用情報機関登録期間
株式会社日本信用情報機構(JICC)個人再生手続き後、約5年で事故情報が消去される
株式会社シー・アイ・シー(CIC)通常借金の完済後、約5年は登録され続ける
全国銀行個人信用情報センター(KSC)手続き後、約10年は事故情報が登録され続ける

このように、各信用情報期間によって、事故情報が登録される期間は違いますが、個人再生の場合は手続き後、5年~10年はブラックリスト状態が継続すると考えておきましょう。

知人や職場にバレる可能性がある|官報に要注意!

債務整理をしていることを、知人や会社に知られたくないと思っている人が多いのではないでしょうか。

しかし、個人再生をすると、まわりの人にバレてしまう可能性があるため、注意が必要です。

個人再生の申立てをすると、「官報」というものに名前が掲載されてしまいます。

官報は、行政機関の休日を除くほぼ毎日のように国が発行するいわば新聞のようなものです。

政府や省庁の決定事項(法律や政令、条約についてや官庁の報告など)や会社法による決定事項が掲載されており、インターネットで誰でも閲覧できます。

また、個人再生の場合、掲載されるタイミングが計3回あります。開始決定時、書面決議時、認可決定時の計3回載ってしまいます。

さらに、個人再生の手続きが取り消されたり、廃止されたりした場合にも掲載されてしまいます。

一般の人は、普段の暮らしの中で官報を見る機会はほとんどありませんが、官報への掲載機会が多いため、個人再生に関する掲載事項を見られてしまう可能性があります。

個人再生と同じく、官報に掲載されている自己破産の情報が悪用されたこともありました。2019年3月中旬には、破産者マップという官報の自己破産者のデータを地図上にマッピングしたサービスが作成され、多くの人が自己破産していることをバラされてしまいました。

また、警備会社や保険会社のように官報の掲載情報をデータベース化している企業もあります。銀行や消費者金融などの金融機関では、業務上官報を見る場合が多いです。

これらの業種に就いている人が個人再生をする場合、職場にバレてしまうリスクがあります。

個人再生が利用できる2つの条件|借金額5000万以下で継続的な収入があること

家は手放したくない、、、借金額がもう少し減額できればなんとか返済できるのに、、、

このような状況の方は、個人再生で債務整理をしたいと考えているかもしれません。

しかし、個人再生は一定の条件を満たした人だけが利用できる手続きです。

債務整理は、特例として借金を減額する手続きであるため、誰でも利用できていては、お金を貸した側は、貸したお金が返ってこなくなってしまいます。

個人再生では、次のような条件を満たす必要があります。

1.安定して収入が得られる
個人再生で借金を減額しても返済できなければ、意味がありません。
そのため、返済ができる大前提として、安定した収入が見込めることが必要です。

2.借金総額が5,000万円以下である
借金総額があまり高額だと、個人再生で借金を減額しても、とうてい返済できるとは考えられません。
そのため、借金総額の条件が定められています。なお、この借金総額の条件に住宅ローンは含みません。住宅ローン特則を利用すると個人再生の対象外にすることができます。

さらに、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類あり、ここでも求められている条件が変わってきます。

小規模個人再生の場合
安定した収入が見込めない場合は、こちらが適用されます。
個人再生をするためには、一定数の債権者から承認してもらう必要があります。
「借金を減額してもいいか」「個人再生をして借金の完済が見込めるか」などが精査されます。

給与所得者等再生の場合
安定した収入を得ている場合、こちらの条件が適用されます。
この場合は、債権者の承認は必要ありません。安定した収入があるため、個人再生が成功する可能性が高いためです。
しかし、自己破産の免責決定日または一度給与所得者等再生の認可決定日から7年以内に再申立できません。

「小規模個人再生」と「給与所得者再生」の大きな違いは、給与所得者再生では債権者の意向に左右されないという点です。

「小規模個人再生」の場合、債権者の半数が反対するか、または債権総額の半額以上を占める債権者が反対すると、再生計画が認められません。

これに対して、収入が安定している給与所得者などは、再生計画どおりの返済ができる見込みが高いと考えられため、債権者の同意がなくても特別に手続きをすることができます。

ただし、給与所得者等再生では、債権者の同意が必要ない代わりに、債権者に不利益を与えないよう、返済額を決める特別の条件(可処分所得が多いと、返済額が大きくなる可能性がある)や、近い時期に個人再生や自己破産をした人は利用できないといった制限があるため注意が必要です。

個人での手続きは成功率が低く、時間や手間もかかる…

債務整理を考えている人であれは、借金問題は少しでも早く解決したいと考えているのではないでしょうか。

しかし、個人再生は債務整理の中でも時間や手間がかかる手続きであり、裁判所へ申立をしてから再生計画の認可決定がなされるまで、約6ヶ月はかかってしまいます。

さらに、弁護士や司法書士に手続きを依頼してから、申立をするまでにも、1〜2ヶ月ほどかかるのが一般的です。

手続き中は、裁判所や債権者を納得させるような再生計画案を作成する必要があります。裁判所から色々な指示が出され、それに対応しなければ手続きが進みません。

また、各債権者と債権額で意見が食い違う場合、それについて裁判所でやり取りする必要があります。

個人再生は、書類作成から裁判所とのやりとりなど難しい手続きが多いため、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。

一般の方が個人で手続きをするのは現実的ではありません。

また、自分で個人再生の申立をすると、費用がかかります。

弁護士へ依頼しないで個人再生の手続きをする場合、裁判所が個人再生委員を選任するためです。

その際、申立人は個人再生委員の報酬を負担しなければなりません。弁護士や司法書士の費用が高いからと自分で手続きを進めても、多額の費用は発生してしまう場合があります。

弁護士や司法書士への依頼費用は50〜60万円ほどすることもあり、決して安くありませんが、依頼する方が結果的にはもっとも効率的な方法になるでしょう。

困ったときはまず相談しましょう。

債務整理には、個人再生も含めて様々な手続きがあります。

まずは「そもそも個人再生が最適な方法なのか?」「個人再生の利用条件を満たしているのか?」などよく検討する必要があります。

個人再生を選択する前に、抱えている借金額や自分の状況を照らし合わせて、この手続きが最適なのかもう一度考えてみる必要があります。

これらの判断には、法律の知識も必要になるため、一人で考えるのは難しいでしょう。

そこで、まず弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。借金問題に強い弁護士や司法書士であれば、個人再生の選択を適正に判断することができます。

弁護士や司法書士というと、多額の費用がかかるイメージをお持ちかもしれません。また、ハードルが高く、「自分には関係ない…」と思ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、最近は債務整理を多く扱う弁護士・司法書士事務所なら、分割払いに応じてくれるなど、お金に困っている人に寄り添ったサービスを用意していることも多く、利用しやすくなっています。

借金問題は放置していても、何の解決にもなりません。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

相談先に迷ったらまずは総合士業グループ

弁護士か司法書士のどちらがいいのか迷う方も多いと思います。

その場合は、どちらの専門家も在籍している総合士業グループに相談することをお勧めします。

借金といっても住宅ローン、キャッシングローン、教育ローンなど分野が広いため、様々な分野の法律のプロがいる組織の方がより最適な解決方法を提案できます。

そのため、総合士業グループに相談をすると、適切な専門家に力を借りることができます。

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