保証協会債権回収株式会社とは、信用保証協会の債権を回収する、取り立て専門の業者のことです。
何かしらのローンなどで借金をしていると、保証協会から取り立てが来ます。
この時、保証協会から連絡が来る理由は、あなたが支払わなかった場合の借金を、保証協会が負担しているという状況で、保証会社に借金の取り立てが移ることを代位弁済と言います。
しかし、この保証協会からの取り立ても無視し続けると、次は保証協会債権回収という取り立てを専門にした業者から連絡がくるようになります。
債権回収会社に債権が移ることを、債権譲渡と言います。
通常、代位弁済されてからしばらく経つと、保証協会サービサーからあなたのもとへ連絡が来て、交渉窓口が変わるようになるのですが、これは信用保証協会から債権回収の委託を受けただけであって、債権譲渡されたわけではないのです。
「譲渡」と「委託」は、まったく別物です。
この違いが非常に厄介で、譲渡された場合は返済しなければ、すぐに裁判所に訴えられてしまいます。
しかし、債権譲渡の場合は取り立てられている請求金額を交渉によって、大幅に減額できる可能性もあります。
これまでの説明を読んで、恐らくややこしいと思うかと思いますが、借金の問題は非常に複雑で、状況に応じて対応しなければいけないことが変わります。
そのため、金融に関する知識と、借金に関する法律の知識が無ければ交渉は難しいと言われています。
このような時、弁護士・司法書士に相談することで対応出来ます。
弁護士・司法書士と聞くと費用が高いと思うかもしれませんが、法律の力によって借金を減額することができ、弁護士・司法書士費用を差し引いても借金の負担が減ることが多いです。
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目次
債権回収会社(サービサーとは)
今回登場してきた、債権回収会社について説明します。
まず、債権回収会社とは架空請求業者のような、悪徳企業ではありません。
債権回収会社とは、国の法務大臣から正式に営業を許可された会社のことで、別名サービサーとも呼ばれています。
債権回収会社が設立された背景は、バブル崩壊後、金融機関は多額の不良債権を抱えました。
そのときに、日本経済立直しに金融機関の不良債権処理が急務となり、金融機関の正常化を計るためサービサー法(「債権管理回収業に関する特別措置法」)が成立しました。
もともと、金融機関は、不良債権を放棄するか、引当金を積み上げる(破綻債権の場合は債権額の70%)かの方法しかなかったわけです。
放棄するにしても、税務上の問題、あるいはその債権放棄の妥当性の問題で、経営陣が株主から株主訴訟を受ける危険性があります。
そのため、なかなか放棄できなかったわけです。
また、債権を取り立てようとしても、当時取り立てを行う権利を持っていたのは弁護士・司法書士だけで、世の中に不良債権が溢れていたので弁護士・司法書士の手に収まる量ではなく、順番待ちのような状況でした。
この状況を打開する為に「サービサー法」が成立され、弁護士・司法書士ではなくても法務省の厳正な審査と条件をクリアした企業が、取り立て行為を許される債権回収会社として名乗れるようになりました。
つまり、今あなたに保証協会債権回収から連絡が来ているということは、正式な借金の取り立て行為なので、いままでと同様に先延ばしにしたりはできないと思って下さい。
債権譲渡されているかを確認する
債権譲渡とは、債権者が保有する債権を債権回収会社のような第三者に安い金額で売り払うことです。
債権者は債務者の意思に関係なく、債権を他者に譲渡するとことが出来ます。
なお、債権譲渡が行われた場合、自宅のポストに債権譲渡通知が必ず届きます。
通知は内容証明郵便という、郵便局側が送付したことを証明することができる方法で送ってくるため、知らなかったという主張は通らないので、その認識を持って下さい。
売り払われた債権は、実際の借金の総額の10分の1以下で取引されることもあります。
そのため、債権回収会社と弁護士・司法書士が交渉した問に減額の交渉が行われれば、大幅に借金を減らすことも出来ます。
債権回収会社は危険
減額できる可能性を知ると、債権回収会社に債権譲渡されるまで待ったほうが良いと思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
なぜなら、債権回収会社はあなたの借金を回収しようとすぐに行動します。
債権回収会社の取り立て方法は、最終的には裁判所を通してあなたの財産や給料を差し押さえようとしてきます。
すこしでも油断していると、気がついたら訴訟を起こされていた、給料の差し押さえを受けて会社に借金をしていたことがバレたということのも頻繁にあります。
しかも、債権回収会社に債権譲渡されずに保証協会側が裁判を起こしてくる場合もあるので、必ずしも債権回収会社が登場するわけではありません。
このように、自分で状況をコントロール出来るわけではないので、借金をして長期間滞納が続き、返済の目処が立たないのであればなるべく早い段階で弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。
弁護士・司法書士に相談することで、まず減額出来るかどうかを確かめた上で交渉してくれるため、相談タイミングが速いほうがリスクは少ないです。
債権回収会社の通知
債権回収会社からの通知を無視すると、自宅や携帯に催促の電話が掛かってきます。
法律で催促可能な時間帯は、8時~21時までと決まっているので、深夜や早朝に掛かってくることもありません。
しかし、電話を無視していると1日に何度も掛かってくるケースもあるようです。
また、先にも解説したように期限内に支払わないと支払督促の申立や訴訟を起こされます。
そうなると、最終的には差し押さえにまで発展します。
この差し押さえを防ぐためには、債務整理という借金の負担を軽くするための法的手続きを行う必要があります。
仕組みとしては複雑ですが、200〜300万人以上がこれまで利用しているといわれており、50人に1人は利用している制度です。
借金で苦労した話は、なかなか人には言えないことなのでわかりにくいことですが、意外と身近にも債務整理をしていて生活を取り戻した人はいるはずです。
そのため、大ごとなんじゃないかと不安になる必要はありません。
債務整理の種類・方法
借金返済問題の解決方法を総じて「債務整理」と呼びます。
この債務整理には、借金の金額や返済能力によって選べる手続きに違いがあります。
それは、自己破産・個人再生・任意整理という3つの手続きです。
時効の援用も、債務整理の方法として利用することが可能です。
それでは、それぞれの債務整理手続きについて詳しく解説していきます。
最も利用される任意整理
債務整理をするなら、最も利用される頻度の多い任意整理がおすすめです。
任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せずに、債権回収会社と弁護士・司法書士の間で交渉することです。
交渉の中で、
- 毎月の利息
- 遅延損害金
- 毎月の支払額の減免
などについて話し合い、借金の負担を減らす手続きができます。
債権回収会社や消費者金融などの債権者は、個人で任意整理の交渉をしようとしても、法的に交渉に応じる必要が無いため相手にされません。
個人で任意整理することも、理論上はできますが債権者には応じる義務が無いため、事実上不可能だと思って下さい。
しかし、弁護士・司法書士が介入したことを伝える通知を送ると、債権者側は不正な取引をしていないことを証明するために、これまでの取引履歴の開示や、交渉に対応する義務が生じます。
そのため、必ず弁護士・司法書士に依頼したほうが良いです。
弁護士・司法書士に任意整理を依頼するときは、すべての借金を打ち明けることが重要です。
そして、弁護士・司法書士は利息制限法に基づいて、借金総額を確定して現実的な返済計画を立てます。
その返済計画の中身は、債務者の現在の収入を基準として3年~5年で返済できるものを作ります。
このとき、返済できそうであれば、任意整理を選択することになります。
任意整理の交渉は、債権者側からしても不良債権になる寸前だった債権が返ってくるという意味を持つため、基本的に債権者に受け入れられやすい傾向があります。
ただし、返済の期間があまりにも長期になる場合は、交渉が上手くいかないこともあります。
こういった時は、別の手続きを行います。
個人再生について
個人再生手続きは、自己破産や任意整理と比べると、まだ一般の認知度が低い手続きです。
この手続きは、3年の返済を目処に借金の返済計画を立てて、計画が立てられない場合、返済可能な額に減額することができる手続きです。
個人再生は、任意整理と違って裁判所を通して行わなければいけないため、何度か裁判所に出廷する必要があります。
また、必要書類に世帯の収入も記入する必要があるので、家族に迷惑をかけることになります。
しかし、借金の総額を減らせるので、借金の負担を減らす意味で効果の高い手続きです。
家や車は残せる
個人再生は、家を手放すことなく住宅ローン以外の借金を整理ができる手続きです。
自己破産の場合は、住宅も財産とみなされるため、差し押さえられて手放すことになってしまいますが、個人再生なら手放すことにはなりません。
そのため、家を残したい場合は自己破産ではなく個人再生を選ぶことになります。
自己破産との違い
自己破産をすると借金は全て免除されることになりますが、個人再生は借金を最大で5分の1までの減額に留まります。
また、返済義務も残り続けるため、減額された借金は3年以内に返済しなければいけません。
自己破産では、破産手続開始決定後の収入・財産は、すべて債権者のものとなり処分されてしまいます。
対して、個人再生は原則3年間は債務者の収入から借金を債権者に返済しなければいけません。
その返済額も自己破産で債権者に配当される配当額を上回る必要があります。
また、個人再生は自己破産のような免責不許可事由はないので、浪費・ギャンブルなどで多額の借金をしてしまった人でも、要件に合致さえすれば利用可能です。
さらに、自己破産のような資格制限もないので、警備員や銀行員など、お金や価値のあるモノに関わる可能性のある職に就いたまま利用可能です。
自己破産について
自己破産とは、債務者が多額の借金などにより経済的に破綻してしまい、自分の持っている資産の全てをお金に変えても返済ができなくなった場合に行われます。
官報に名前が載る
自己破産をした場合、裁判所から破産手続開始決定が出た時と、免責許可決定をもらった時の合計2回は官報に掲載されます。
官報とは、政府が発行している雑誌のようなもので、法律の改正などの情報が載っているものです。
普通は、一般人が官報などを見ることはまずありません。
そのため、自己破産をしてもご近所や職場の同僚に知られる心配はありません。
信用情報機関へ登録
自己破産をすると、信用情報機関にいわゆるブラックとして登録されてしまいます。
この登録機関は、信用情報機関によって多少の違いがありますが、およそ5年~10年です。
このブラックリストに登録されると、その期間は銀行や消費者金融からお金を借りたり、クレジット会社からカードの発行ができなくなります。
しかし、日常生活で銀行や郵便局の口座を使ったり、公共料金の引き落としができなくなるわけではありません。
最低限の財産は残る
自己破産は清算手続きなので、当然お金に換えることのできる物は強制処分されます。
しかし、債務者の最低限の生活は保証されているので、生活する上での必要最低限の家財道具は差押禁止財産として取上げられることはありません。
実務上は、およそ20万円以上の価値があるようなものでなければ競売に回ることはないので、よほど高価なものを持っていない限りは、自己破産をしても何も処分されないで済むケースが多いです。
破産手続について
多くの方は、よく破産の申立てをすれば無条件で借金が無くなるという認識の方が多いですが、実際は違います。
正確には、破産手続き開始決定が出た後に、裁判所から免責決定を受けることで初めて借金が無くなります。
自己破産の期間
自己破産の申立てから免責決定までは、裁判所や個々の事情によっても多少の違いはありますが、およそ3か月から半年程度です。
通常では、問題がなければ申し立てをしてから3か月程度で免責決定が出ます。
これに対して、借入れ内容に問題があったり、破産者に一定程度の資産がある場合、申し立てをしてから免責決定までに半年から1年程度かかります。
この辺は各地の裁判所の運用や事案によって異なります。
自己破産しないで済む場合
自己破産は借金を全てに0円にする制度ですが、自己破産以外の手続きはあくまでも返済していく必要があります。
これらの手続きには、基本的に債務者本人に一定の収入があることが前提になっています。
無職で収入がない場合や、返済にまわせるだけの収入がない場合は、既に支払不能になっている可能性が高いので、自己破産を選択せざるを得ないと思われます。
過払い金がある場合
借りていた借金の金利が、利息制限法の範囲外の場合、借入当初から利息制限法による引直計算をすることで過払い金が分かります。
当然、今まで高い金利を前提に返済をしていたわけなので、引直計算をすれば借金の額は減ることになります。
これは、貸金業者との借入期間が長ければ長いほど減る傾向で、借入期間が5年を超えているような業者の場合は借金がかなり減ることになります。
場合によっては借金が全て無くなり、逆にお金が返ってくることもあります。
そのため、弁護士・司法書士に債務整理の依頼をして債権調査をした結果、借金が半分に減ったり、過払い金が発生していることが分かり100万円以上のお金が戻ってきた例もあります。
以上から貸金業者からの借入期間が長い人ほど、自己破産をしなくて済む可能性が高いこともあります。
自己破産以外の手続きをするなら
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