給料差し押さえとは、借金などの返済が滞っている債務者に対し、債権者が裁判所に申し立て、債務者の勤務先から債権を回収する法的手段です。
借金やローンなどで支払いの滞りが続くと、債権者は給料差し押さえという手段を取らざる得なくなります。
差し押さえになるのが困るなら、早い段階で借金問題の専門家に相談してください。
借金が多くなりすぎてしまった方は、一人で悩んでしまうよりも専門家の相談をすることで、差し押さえを防げます。
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目次
差し押さえは強制執行の一つ
今回は給料差し押さえの仕組みと、給料差し押さえに対処する方法を解説していきます。
給料差し押さえに限らず、財産の差し押さえは強制執行という債権回収方法の一種です。
強制執行とは、裁判所を通した制度になります。
そのため、債権者が独断で裁判所を通さずに財産を差し押さえることはできません。
強制執行で差し押さえできる財産は、以下が対象となります。
- 給料
- 預貯金
- 動産
- 不動産
また、差し押さえには「債務名義」が必要です。
強制執行による差し押さえを行うためには、根拠が無いといけません。
そのため、請求権の存在・範囲・債権者・債務者を記した以下の公の文書が必要です。
- 確定判決
- 仮執行宣言付判決
- 仮執行宣言付損害賠償命令
- 仮執行宣言文付き支払い督促
- 執行承諾文言付公正証書
債権者がこれら文書を入手するには、何かしらの手続きを行なわなければなりません。
債権者が債務名義を入手するための行動を起こしてきたのであれば、今後給料差し押さえなどが行われるかもと予測することもできます。
給料差し押さえの上限金額
給料差し押さえと言っても、全額が差し押さえになるわけではありません。
まず、給与差し押さえには限度額があり、毎月その限度額までしか差し押さえすることができません。
原則的に、給与の法廷控除額を引いた4分の1まで差し押さえ可能となっています。
法廷控除額とは、国に治める税金や社会保険などの金額のことです。
一方、会社から引かれている共済費・住宅ローン・積立金などは除かれます。
例えば、給料が20万円の場合は、5万円まで差し押さえができるというわけです。
給料差し押さえの流れ
給料差し押さえはどういった流れで行なわれるのでしょうか。
実際に行われる、給料差し押さえの流れを説明していきます。
裁判所への申し立て
債権者から、直接勤務先へ取り立てがされることはありません。
まず、債権者が裁判所に対し債権差押の申し立てをします。
申し立ては、裁判所から認可されて、初めて給料差し押さえが行なわれます。
裁判所から差押命令
裁判所から給料差し押さえの認可がされると、債務者と債務者の勤務先へと「差押命令正本」が送られます。
債権者は、第三者である勤務先から給与差し押さえを行い、債権を回収をします。
このことにより、勤務先にも金銭問題の渦中にあると勤務先にも知られてしまいますし、裁判所からの命令なので、必ず従わなくてはなりません。
給料差し押さえは突然来る
給料差し押さえの通達は、それまでに裁判申し立てや催告書などの通知は来るものの、具体的にいつ実行されるとは債務者に知らされません。
理由としては、給料差し押さえの日にちを債務者が知ると、退職したり、財産を隠すなどの対策をとられてしまうからです。
とはいえ、上記のように催告書や、裁判申し立てなどの給料差し押さえの前兆は見られます。
まだ、給料差し押さえが実行されていない方であっても、前兆がみられる方は、早めに債権者と連絡を取り対処してください。
税金や社会保険未納
税金や社会保険など国に対しての滞納がある場合、裁判所を介さずに給料の差し押さえが行われることがあります。
事前に督促状や催告書などが数回に渡り送られてきますが、応じなかった場合は最終宣告として、最終催告書や差押予告書が送られます。
これらが送られてきても、内容に具体的な期日は記載されていないため、いつ給料差し押さえがされてもおかしくない状態になります。
裁判の判決がされた後
通常の債務の場合、差し押さえは裁判の判決が出た後に行なわれます。
裏を返すと、債権者と借金支払いによる裁判の判決がされたのであれば、いつ給料差し押さえがされても良い状態になっていると身構えてもいいかもしれません。
判決によって出た支払い命令のあとに、1,000円でも良いので少しでも支払いを行い、債権者側に支払い意思ありと見られれば、債権者も差し押さえに出てくる可能性は低くなります。
なので、判決内容に真摯に対応することが、差し押さえを回避するための最善策だと言えます。
逆を言えば、判決による支払い命令を無視し続けることは、差し押さえの可能性を高めてしまいます。
和解や調書を作成された後
裁判によって和解、もしくは調停による話し合いで調書が作成されると、争いは一旦解決したことになります。
ただし、その和解の内容や調書に書かれた約束事を守らないと、差し押さえを受けてしまう可能性があります。
公正証書が作成されている場合
裁判が行われなくても、差し押さえが行われる前兆はあります。
それはあらかじめ公正証書が作成されているケースです。
公正証書は、公証人が作成した書面の事です。
債務者の前で債務の存在を認めた上で、債務・債権者両者の決まりを記載します。
公正証書に書かれている内容を守らなかった場合、裁判が無くても差し押さえされる可能性があります。
税金や社会保険の場合
税金や社会保険料を滞納した場合、その時点で差し押さえを受けてしまう可能性は出てきます。
ただ、一度の滞納で差し押さえを受けるようなことはまず無いと言っても良いでしょう。
段階としては、催促状や催告書がまず送られてきて、その書面に対応していないと「最終催告書」や「差押予告書」などが送られてきます。
そうなってしまうと、いよいよ差し押さえは目前に迫っていると言っても良いでしょう。
催告書・督促状の段階で、早めに対処することが最善です。
給料差し押さえで生じる影響
実際に給料差し押さえされてしまうと、どのような影響が及ぶのか、イメージも付くでしょう。
そこで、給料差し押さえによって生じる影響を明記したいと思います。
給料の手取りが減る
当たり前の内容ですが、本来の給料の一部が債権者に渡されますので、その分の手取りが減ります。
いくら返済額が多いといっても、給料の全額を差し押さえられることはありませんが、生活に多少なりとも支障は出てくるでしょう。
給料差し押さえの通知がされたからと言って、返済が完了するまで給料の全額を差し押さえられるようなことはありません。
差し押さえが許されている給料の額には決まりがあり、それ以上の金額を差し押さえすることはできません。
勤務先からの信頼が損なわれる
給料差し押さえされるといいうことは、勤務先にも差し押さえの事実が知られることとなります。
特に会社が賃金や税金等を多く支払う必要はありませんが、対応する経理は従業員に支払う給料と、返済に充てる金額を別に計算しなくてはならないため、面倒にはなるでしょう。
また、「お金にだらしない人」という風に捉えられてしまうため、会社内での信頼を損ねる可能性は十分にあります。
家族に知られることはない
給料差し押さえは、通知されるのは会社のみなので、家族に知られてしまうということは仕組み上起こりません。
しかし、突然手取りが減ってしまうので家族に疑われる可能性があり、結果的に知られることも考えられます。
債務整理の手続きを行う
給料が差し押さえられる前に、支払いをおこなえば差し押さえは防ぐことは出来ますが、手元にお金がないため、支払うことが出来ない人も多いくいると言われています。
その場合に、給料差し押さえの対処法が、「債務整理」です。
債務整理とは、弁護士・司法書士に間に入ってもらい、債権者と利息の返還や借金の減額を行うことです。
つまり債務整理では、あなたが抱えている借金を減額したりチャラにしたりすることができます。
債務整理の手続きは、基本的には弁護士や司法書士を通じて行うようになります。
自分でやろうと思えばできないこともありません。
ただ、手続きはかなり複雑になってくるので債務整理に詳しい人ほどおすすめしていません。
債務整理の種類
債務整理には、「任意整理・特定調停・個人再生・自己破産」の4つの種類があります。
ここでは、それぞれの方法について簡単に分かりやすく説明をしていきます。
これらのどの手続を取るかによって特徴が違うため、紹介していきます。
任意整理
任意整理とは、債務者(借金を抱えた人)が弁護士や司法書士を通じて、特定の債権者(消費者金融などお金を貸しているところ)に対して交渉を行ないながら借金を圧縮していく手続きです。
他の債務整理の手続きと違って、唯一裁判所を通さずに行えるという点が任意整理の大きな特徴の一つです。
任意整理では、以下のことを行ないます。
- 取引履歴を債権者から取り寄せる
- 引き直し計算を行い、払い過ぎた利息を確認
- 将来利息をカットする
- 最終的に和解した内容に基づき残債を3~5年で返済していく
任意整理は債務整理の中でも比較的、借金(債務)の少ない人が行なう傾向があります。
また、裁判所を通さない分、手続きもやりやすいため、債務整理の中では任意整理を選ぶ人が一番多くなっています。
特定調停
特定調停は、簡易裁判所を通じて、特定の債権者と交渉を行い、借金の減額や返済条件の緩和を行っていく手続きです。
形式的には任意整理と似ていますが裁判所を通じて行うという点が大きく違います。
また、特定調停では弁護士や司法書士を通さず簡易裁判所が選任した調停委員が仲介を行うようになります。
特定調停の大きなメリットは、費用を安く済ますことができるという点です。
掛かってくる費用は申立手数料や印紙代ぐらいとなり、一つの債権者あたり1,000円程度とかなり格安となっています。
ただ、その一方で特定調停は、自分で裁判所に通ったり、書類を準備したりしなければならないので手続きがかなり大変です。
調停委員が債務整理に詳しいとは限らないため、有利に交渉を進められる保証はありません。
もし過払い金が発生していた場合は、別途過払い金請求訴訟を起こす必要があります。
このように、デメリットがいろいろあります。
実際、特定調停を利用する人の数は年々減少している傾向もあり、当サイトでも特定調停はおすすめしていません。
個人再生
個人再生とは、裁判所を通じて債務を減額していく手続きです。
減額できる借金の額は金額にもよりますが、例えば借金が500万円~1500万円の場合は、個人再生を通じて借金の金額を5分の1まで減らすことも可能です。
そして、残債を3~5年で返済していくような流れになります。
自己破産のように借金をチャラにできるという訳にはいきませんが、任意整理よりも減らせる借金の額は大きいです。
そのような意味で、個人再生は任意整理と自己破産の中間的な位置にあるとも言えます。
また、個人再生では、原則としてすべての債務が整理の対象となりますが、住宅ローンだけは住宅資金特別条項を利用することによって、整理の対象から外すことができます。
大切な自宅を残したまま、借金を整理することができるという点が、個人再生の最も大きな特徴の一つです。
自己破産
自己破産は、裁判所を通じて、全ての債務を免除してもらう手続きです。
税金の滞納分だけは例外となりますが、裁判所に認めてもらえれば、借金を一気にゼロにできるので、そういった意味では最も強力な債務整理の手続きだということができます。
ただ、その一方で、自己破産を行うと、
- 現金は99万円までしか保有することができない
- 現金以外の財産は20万円を超えると処分しなければならない
などの制約を受けるようになります。
ですから、自己破産をする場合は、弁護士・司法書士などとよく相談しながらどのようなデメリットがあるか、よく認識した上で手続きを行っていく必要があります。
自分にあった債務整理を行うには
ここでは、債務整理の具体的な種類について解説をしていきました。
ただ、あなたにとって、どのタイプの債務整理が良いか、すぐには分からない場合もあります。
また、いきなり近くの弁護士事務所や司法書士事務所へ相談するというのもかなり敷居が高いと感じる方も多いでしょう。
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多重債務になったしまったりするなど、借金の金額が多くなると誰にも相談できず一人で悩んでいる方が多いというのも実情です。
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