個人間の借金について問題を抱えている人は多いです。
トラブルの多くは、借用書無しでやり取りされるため、相手がそんなお金は借りていないとしらを切るケースが多いです。
このように、相手が借金を認めない場合、口約束でも借金は返済の必要性はあるのか解説します。
目次
借用書が無い契約は成立するか
契約の成立には、書面が必要と誤解されている方もいるでしょう。
しかし、日本の法律では、口約束でも契約が成立します。
書面は、口頭での合意があったことの証拠に他なりません。
保証契約は、書面の作成により成立するという例外もありますが、大半の契約は書面がなくとも、口頭の約束をもって成立するとされています。
借用書無しでも請求する方法
借用書がなくとも、お金の貸し借りの証拠がそろえば請求可能なので、相手が認めさえすれば請求は可能です。
お金を貸した日時、金額、返済の約束を中心に証拠固めすることになります。
振り込みの記録は相当強い証拠となり、返す意思がある文面のメールや、通帳からお金を引き下ろした記録も証拠となります。
手帳や家計簿に記載された金額のメモ、知人や本人の証言、相手は貯金ゼロなのに~万円出費があったという証拠でも、誰かにお金を借りた証拠となりえます。
貸したお金の請求権の時効は10年なので、時効が近づいていると思ったら、まずは内容証明を送り、支払督促制度(裁判所から督促状を出してもらう制度)といった手続きをとっておくのが良いでしょう。
個人間の借金でわからなければ
個人間の借金は、消費者金融が相手の借金と違い、口約束でのやり取りが多く話がこじれてしまうことが多いです。
そういったときは早い段階で弁護士・司法書士に相談しましょう。
みつ葉司法書士事務所なら、無料の相談窓口を設けているので、気軽に相談できます。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、いつどんな内容の郵便を、誰から誰あてに郵送したかということを、郵便局が証明してくれる郵便サービスのことです。
内容証明郵便では、次の2つのことを証明できます。
- あなたが相手に手紙を送ったこと
- 送った手紙の内容
この2つの証拠があることで、相手は「そんな郵便物知らない」「受け取ってない」「そんな内容じゃなかった」という言い訳ができなくなります。
もし、内容証明郵便を受け取っていたら借金から逃げることはできません。
個人間の借金トラブル
はじめから返すつもりがないのに、必ず返すと言ってお金を借りた場合は、相手にうそを言って財産をだまし取っていることになります。
このとき、返すつもりがあったか否かは、内心の問題なので、なかなか立証が難しいと言われています。
例えば、返すつもりがなかったとしても後になって「返すつもりだった」と10万円返還を受ければ、「返すつもりがなかったか否か」の内心の判断は難しいでしょう。
一方、100万円を借りた次の日には行方をくらまして、連絡不能になった等の事情があれば、最初から返すつもりがなかったとして罰せられる可能性が高いといえます。
どんなに親しい関係でも、お金が絡むとトラブルにつながりやすいので、なるべく貸し借りをしない、貸す場合でもなるべく借用書を作成するか内容証明郵便を利用することをおすすめします。
借金は時効だと主張された場合
時効とは、法律で定められた期間を超えたときに、権利が消滅する制度のことです。
個人間のお金の貸し借りは、10年で時効となります。
ただし、時間が経つだけでは時効は成立しません。
時効の成立には下記、2つの条件があります。
- 時間が経過すること
- 時効を援用すること
時間が経過すること
時間が経過することついて大切なのは、いつから時効のカウントがスタートするのかを正しく判断することです。
時効は、まだ返済していないお金をゼロにする制度です。
カウントのスタートは、お金を返さなければいけなかったときです。
例えば、100万円を借りたが残りの10万円をまだ返していない場合は、その10万円の返済期日だった日から時効のカウントがスタートします。
しかし、時効の中断が行われた場合、時効時間経過はストップされ、最初からカウントし直しになります。
例えば、5年が経過したときに時効の中断を行ったとします。
すると、その時点で時間の経過カウントはゼロに戻り、またそこからさらに10年たたないと時効が成立しないのです。
時効の中断方法は3つあります
- 請求する
- 差し押さえ、仮差し押さえ又は仮処分をする
- 債務の承認をさせる
請求する
裁判を起こしてその中で返済を求めるか、内容証明郵便で返済を請求した後6か月以内に訴訟などの法的手続きをとる、という方法です。
差し押さえ、仮差押え又は仮処分をする
公正証書や勝訴判決をもとに、差し押さえなどを行い、強制的に返済させる方法です。
債務の承認をさせる
借金の存在を一度でも認めさせることが該当します。
10年の間に1度でも返済をしたり、返済の猶予を申し込んだりすると、債務を承認したことになり、時効が中断します。
時効の援用とは
時効に必要な時間が経過したので、時効の権利を使いますと宣言することです。
時効の援用は内容証明郵便で行う必要があり、口頭や普通郵便手紙などで行っても証明力がなく、時効は成立しません。
利息のトラブル
個人間の借金の場合よくあるのが利息のトラブルです。
口頭での約束が多く、場合によっては借金の途中に利息を貸した側が法外な利息を要求してくることもあります。
このような場合、債務者側が不利になってしまうので、出資法で個人間の借金の利息に上限金利が設定されています。
出資法では、個人間の借金の上限金利は109.5%と決められており、これを超える金利での貸し付けには罰則があります。
1日あたり0.3%で、2月29日まである、うるう年のときは年109.8%になります。
自己破産の対象になるのか
個人間のやり取りで行われた借金も、自己破産の対象になります。
個人間の借金がある場合に、自己破産や個人再生などの債務整理て手続きを、必ずその個人の借金も対象としなければなりません。
これは、すべての債権者を平等に扱わないといけない、ということが理由です。
その代わり債務者は、20万円を超える預貯金など、生活に必要な品物以外の高価な財産は処分の対象になります。
このとき、個人でお金を貸している債権者は裁判所に行き、競売に掛けられた財産の配当の会合に参加しなければいけません。
借金は必ず支払うもの
個人間の借金で少額だと、払わないでいよう考える人も多いですが、お金は借りたら返すものです。
個人間の借金でも、消費者金融などと同じく債権者側が裁判所に取り立ての申し立てを行えば、裁判所から督促状を送ることができます。
そして、督促状無視してしまうと、給料の差し押さえが発生します。
このようなときは、国によって決められている借金を救済する制度の債務整理をして、少しでも返していくべきです。
もし、個人間の借金を時効などを狙うのであれば、最後に返済してから10年間逃げ回るか、自己破産をする必要があります。
仮に、時効が成立して借金がなかったことにしても、お金を借りても返さない人という噂は広まります。
交友関係を全く別なところで作る必要があるでしょう。
もし、自分の力だけでは返済できない場合は弁護士・司法書士を頼りましょう。
実際に裁判になったら
借金問題に関する裁判には、大きく分けて3種類があります。
地方裁判所での裁判
140万円を超える貸し借りについては、地方裁判所が管轄です。
【裁判の流れ】
- 訴状と証拠書類の提出
- 口頭弁論や証拠調べ・争点整理(必要に応じた回数)
- 判決もしくは和解
訴状などは裁判所の窓口で提出できますが、手続きに必要な資料は専門的な知識が必要になるため、債権者側が弁護士・司法書士を雇っていることもあります。
簡易裁判所での少額訴訟
60万円以下のお金の支払いを求める場合にのみ、利用できる手続きです。原則1回の審理で判決がもらえ、簡単でスピードの速い裁判です。
【少額訴訟の流れ】
- 訴状と証拠書類の提出
- 審理(原則1回)
- 判決もしくは和解
少額訴訟は手続きも簡単なので、自分ひとりで行う人も多い裁判です。
簡易裁判所での裁判
140万円以下の貸し借りについては、簡易裁判所が管轄です。
【裁判の流れ】
- 訴状と証拠書類の提出
- 審理(必要に応じた回数)
- 判決もしくは和解
地方裁判所での裁判よりは簡潔な手続きなので、この手続きも個人で行う場合自分ひとりで行う債権者が多いです。
個人間の借金でも債務整理できるか
個人の借金でも債務整理することはできますが、弁護士・司法書士などが介入しても、取り立てを止めることはできません。
借金を減らしたり帳消しにする方法として任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの債務整理手続きがありますが、借金が帳消しになるのは自己破産のみです。
キャッシングやカードローンなど貸金業者からの借り入れで、返済ができなくて債務整理を選ぶ人も多いですが、債務整理は個人の借金でも利用することができます。
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