「突然の病気やケガで入院することになって収入が減ってしまった…」「治療費が思ってた以上に高くて借金の返済が難しくなってしまった」という方もいるでしょう。
また、「親が借金の返済中に入院して返済が難しくなってしまった…」という場合もあるかもしれません。
ここでは、急な入院によって生じてしまった借金問題の対処法について、ご紹介していきます。
目次
入院中に借金が返せなくなったときの対処法
「急に入院することになって借金が返せなくなってしまった…どうしよう」
借金の返済中に、入院することになってしまうと、それまで順調だった返済が滞る恐れがあります。
その結果として起こりうる事態と、その場合に多くの方が考える対処法が適切なのかどうかを見ていきます。
入院による収入減や失業で借金が返済できなくなる
入院中に借金の返済ができなくなる最大の原因は、入院によって働けなくなり、借金返済に必要なお金が入ってこなくなることです。
借金をしている方の多くは、そもそも生活がギリギリの状態です。その状態でさらに収入が減るとなると借金を返済することはますます難しくなります。
当たり前のことですが、借金を返済していくためには、毎月一定の収入があることです。
しかし、入院によって働けなくなってしまうと、収入が減り、失業する恐れもあります。
その結果、借金の返済がますます困難になる可能性が高まります。
入院で借金が返済できなくなった場合、踏み倒しできるのか
入院しなくてはいけないとなると、自力でお金を返すことは難しくなります。
こうなってしまうと、どうしようもないため、「踏み倒し」を考える方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、踏み倒しはできません。
確かに、借金にも時効があり、5年または10年の時効期間が経過すると、借金の返済義務がなくなります。つまり、借金がゼロになります。
この事実を知っている方は、借金を踏み倒せると思うかもしれません。
しかし、取り立てをする企業も時効のことは、十分承知しているため、対応策を講じてきます。
実際には、時効間際に訴訟を起こされる、時効期間がリセットされることがほとんどで、普通はもっと早い段階で督促されます。この督促を無視すると訴訟を起こされ、家や車を含む全財産を差し押さえられる可能性があります。
また、長期間、返済を無視し続けると、もし悪質な金融業者であれば、病室まで押しかけてくる可能性もあります。それが原因で適切な診療が受けられなくなったり、家族や勤務先、友人などにも大きな迷惑が及ぶリスクもあります。
特に親や配偶者を保証人や連帯保証人としている方は要注意です。あなたの代わりに返済義務を負った結果、それが原因となり、破産に至るという事例も珍しくありません。
そうなると、周囲の人との関係が壊れるだけでなく、その人たちまで不幸に陥れることになりかねません。したがって、借金の踏み倒しは、不可能と考えておくべきでしょう。
入院による借金返済の猶予はできるが問題も…
入院が原因で、どうしても一定期間、返済ができない場合、貸金業者にお願いすることで一定間、返済を猶予してもらえることもあります。
そのため、まずは貸金業者に事情を説明して、相談してみる方法もあります。
ただし、返済を猶予してもらえるかどうかは業者次第です。また、返済の延期が可能な場合でも、借金の返済義務が先延ばしになるだけということは覚えておきましょう。
他にも、退院後すぐ仕事に復帰できず、すぐには収入が入院前の状態に戻らないことも十分考えられます。一度仕事を辞めている場合は、ゼロから仕事を探さなくてはならないでしょう。
こうなると、当初猶予してもらっていた期間でも返済できず、状況が悪くなる可能性があります。約束を破ってしまい、信用を失ってしまえば、貸金業者の取り立ても厳しくなるでしょう。
したがって、返済を待ってもらう場合は、入院前と同じようには返済できない可能性が高いことも考慮しておく必要があります。
「返済していけるのか」をよく検討する必要があります。
しかし、十分に検討してもなお、どうしても返済が難しそうであれば、一人で悩まず弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
入院によって借金をしてしまった対処法
次に、入院が原因で借金をしてしまった場合の対処法をご紹介していきます。
そのためには、まずは必要となる入院費や、高額になりがちな入院・手術費を抑える方法について、知っておく必要があります。
入院費は平均22万円
公益財団法人生命保険文化センターが行った「平成28年度生活保障に関する調査」によると、入院時の医療費自己負担額は平均22万1,000円(※)です。
入院が長引いく場合や、30万円以上が目安となるガンの手術費や個室などの差額ベッド代が生じる場合は、さらに医療費が高額になります。
十分な貯えがなければ、入院・手術費を賄うために借金せざるを得ない状況になってしまうこともあります。
そのような事態を防ぐためにも、まずは入院費用を抑える方法を知っておきましょう。
(※)衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
入院費用を抑えられる「高額療養費制度」
入院費や手術費を抑える方法として検討したいのが、健康保険加入者なら誰でも利用できる「高額療養費制度」です。
高額療養費制度とは、高額の医療費による生活の困窮を防ぐためにある公的医療制度です。
1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、自身が加入している公的健康保険(国民健康保険や健康保険組合など)に申請すると、超過分の医療費が支給される仕組みです。利用すると入院費などの医療費負担を抑えられます。
月の自己負担額は、同じ世帯に住み、同じ健康保険に加入している親族の医療費も合算できます。
高額療養費制度でどれくらい入院・手術費を抑えられるのか
高額医療費制度は、年齢や前年の世帯年収で給付される金額が変わり、どの程度入院・手術費を抑えられるかも人によって違います。
高額療養費制度を利用した場合の自己負担額は次のようになります。
年収(目安) | 自己負担額 |
1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
770~1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
370~770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
~370万円 | 57,600円 |
住民税非課税世帯 | 35,400円 |
年収(目安) | 自己負担額 |
370万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
156万~370万円 | 44,400円 |
住民税非課税世帯 | 24,600円または15,000円 |
上表のように、前年の世帯年収が高いと自己負担額の上限が高くなり、入院しても高額療養費制度が適用されない場合もあります。
しかし、独自の医療費助成を行っている自治体や健康保険では、これとは別に医療費の助成を受けられるケースがあります。まずは、各自治体や加入する健康保険に問い合わせてみましょう。
高額療養費制度を利用する際の注意点3つ
高額療養費制度の利用には、他にも注意すべき点が3つあります。
高額療養費制度は自己申告制です。加入している健康保険に自ら申請する必要があります。
2.保険適用外の診療には高額療養費制度が適用されない
高額療養費制度の対象となるのは、健康保険が適用される医療費だけです。食事代、差額ベッド代、先進医療などの保険適用外の医療費はすべて自己負担となります。
3.申請~給付まで時間がかかる
申請から給付までの期間が約3ヶ月と時間がかかるため注意が必要です。給付まで立て替えておく方法もありますが、手元にお金がない場合は一時的に借り入れなどによって医療費を支払う必要があります。
これらの可能性がある場合は、事前に「限度額適用認定証」を入手しておきましょう。それにより、病院からの請求額が、高額療養費制度適用後の自己負担上限額となります。
高額療養費制度の利用には、このように細かな注意点が多いため、事前にしっかり把握しておく必要があります。
入院で借金ができたら根本的な解決策を検討すべき
高額療養費制度で医療費を減らせても、入院費が支払えない可能性があります。
また、入院費は支払えても、退院後の生活にお金が不足し、結局借金せざるを得なくなる方もいます。
入院が必要なほどの病気やケガとなると、正常に生活ができるようになるのに時間がかかります。
その間に、借金返済のために無理をして働けば、再び体調を崩し、ますます借金の返済が難しくなる悪循環に陥ってしまうでしょう。
このようなことを考えていくと、借金返済の延期などの一時しのぎでは借金問題の解決がなかなか難しいことがわかります。もっと根本的な方法を検討する必要があります。
また、専門的な知識を持たない債務者が苦しい中で冷静かつ適切に借金返済に対応するのは限界があります。
入院した親の借金は払う必要があるのか
親が借金した状態で入院した場合、子どもが親の借金を返済する義務は、基本的にはありません。(もちろん、借金の保証人や連帯保証人になっている場合は、返済義務があります。)
しかし、親が亡くなった場合は、放置していると相続によって親の借金が子どもに引き継がれてしまいます。そのため、相続放棄などの手続きをする必要があるため、注意してください。
ただし、借金よりも財産が多い場合は、いくらかプラスになることもあるので、相続の可否は総合的に判断するようにしてください。
夫婦のどちらかが、借金返済中に入院するケースについても少し触れておきます。
借金が「共同家事債務(日常生活に必要な物品やサービスの購入で生じた借金)」と判断されると、配偶者にも返済義務が生じる場合があります。
その場合は何が共同家事債務かの判断が難しいので、弁護士や司法書士に相談した上で対処することをおすすめします。
借金を滞納するリスクと困ったときの選択肢
最後に、入院で借金を滞納した場合に生じるリスクと、返済に困った場合に有効な対処方法をご紹介していきます。
借金を返済できなくなった場合に起こること
突然の入院によって収入が減ってしまい、約束の期日までに借金が返済できなくなってしまうと、取り立てがはじまります。
滞納期間 | 取り立て内容 |
滞納直後~1ヶ月目 | 電話やハガキなどで督促される 延滞した借金だけでなく、滞納期間に応じて遅延損害金が請求されます。職場や自宅を連絡先にしている場合は、家族や職場の同僚に借金の事実を知られる危険性もあります。 |
滞納後1ヶ月~ | 内容証明で督促状が届く 電話やハガキを無視し続けると、内容証明郵便で利息を含めた借金の全額と、延滞期間に応じた遅延損害金が一括請求されます。 |
督促を無視し続けた場合 | 裁判(訴訟)を起こされる 一括請求も無視すると、金融会社は返済の意思がないとみなし、裁判を起こします。訴えられると「訴状」または「支払督促」が届き、それにも応じない場合は裁判所命令で財産を差し押さえられます。 |
「債務整理」は有効な選択肢のひとつ
入院によって借金返済に困る方の多くは、すでに返済が難しい状況に陥っています。そのため、早い段階で法律の専門家に相談し、適切に対処することをおすすめします。
中でも、有効な選択肢のひとつが「債務整理」です。
債務整理とは、「弁護士や司法書士に依頼することによって、借金の元本の減額や将来利息の免除などができる、国が認めた法的手続き」です。
大きく「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4つの手続きがあります。
この中でも、入院中でも負担が少ない手続きは、「任意整理」です。
任意整理とは、裁判所を通すことなく、お金を「貸している側」と「借りている側」が直接交渉することによって、借金額や返済方法を決め、完済できるように借金を減額する手続きです。
借金が増えると、利息がかさみ返済総額も増え、対応策も限られてしまいます。できればそうなる前に、弁護士や司法書士に相談しましょう。
入院で借金返済に困ったときでも相談先はある
突然の入院で、借金が返済ができなくなってしまった場合や、入院費・治療費によって借金を作ってしまった場合、返済を猶予してもらえることもありますが、根本的な解決にはなりません。業者によっても対応が違うため期待しないほうがいいでしょう。
まずは、高額療養費制度など正規の制度を活用して入院費・治療費による自己負担が減らせないか検討してみましょう。
それでも返済が厳しい場合は、借金問題に強い弁護士や司法書士に相談し、債務整理などの根本的な対策を検討することをおすすめします。
弁護士や司法書士というと、多額の費用がかかるイメージをお持ちかもしれません。また、ハードルが高く、「自分には関係ない…」と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、債務整理を多く扱う弁護士・司法書士事務所なら、分割払いに応じてくれるなど、お金に困っている人に寄り添ったサービスを用意していることも多く、利用しやすくなっています。
相談しづらいお金の悩みを打ち明けるために、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。借金問題は放置していても、何も解決には至りません。
一歩踏み出す勇気が必要です。入院中・入院後の借金生活で悩みがある方は、借金問題に強い弁護士や司法書士事務所に無料相談することをおすすめします。
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