「過払い金請求すると、どのくらいの期間で反ってきますか?」「できるだけ早く過払い金を取り戻したいです。」という声を相談者からよく聞きます。
過払い金を請求し、お金を取り戻すまでの期間は、条件によって異なりますが、概ね次の4つで決まってきます。
- 過払い金請求を自分でするか、専門家に依頼するか
- 依頼をした専門家の手腕
- 裁判をするかしないか
- 貸金業者の経営状況
これらによる違いをしっかり理解したうえで、最適な方法を選べば、過払い金が返ってくるまでの期間を早めることができます。
過払い金請求は、時効があるため、いつまでも請求できるわけではありません。そのため、できるだけ時間のかからない方法で手続きをするべきです。
この記事では、過払い金が返ってくるまでの期間と出来るだけ早く過払い金を取り戻す方法についてご紹介していきます。
目次
過払い金請求にかかる期間と返還率の目安
過払い金請求でお金が返ってくるまでの期間は、「自分で請求する場合」と「専門家に依頼する場合」で異なります。
また、期間だけでなく、取り戻せる過払い金額にも差が出てきます。
発生している過払い金のうち実際に返還される金額の割合を「返還率」と呼びますが、司法書士や弁護士などの専門家に依頼した方が返還までの期間は短く、返還率が高くなる傾向にあります。
返還までの期間 | 返還率 | |
自分で請求 | 約6〜12ヶ月 | 約60〜80% |
専門家に依頼 | 約3〜10ヶ月 | 約60〜100% |
自分で過払い金請求をすると時間がかかる理由
過払い金請求は以下の流れで進みます。
過払い金請求の主な手続きと手順
- STEP1.過払い金請求する貸金業者から取引履歴を取り寄せ
- STEP2.過払い金の引き直し計算ソフトをダウンロード
- STEP3.過払い金の引き直し計算ソフトにより計算
- STEP4.過払い金返還請求書を送付
- STEP5.過払い金請求において交渉
- STEP6.過払い金請求の裁判(必要な場合)
- STEP7.過払い金が貸金業者より振り込み
専門家に依頼する場合は、このような複雑な手順を全て任せられますが、自分で過払い金請求する場合は、全てを間違いのないように自分で進めなくてはいけません。
過払い金請求を自分でやる場合、専門家に依頼した時にかかる費用がかからないというメリットがありますが、この手間がかかるというデメリットがあります。
また、過払い金請求に必要となる書類の準備や過払い金の計算、貸金業者との交渉などのすべてを自分でやらなければいけません。
それぞれの手続きごとにどのくらいの時間がかかるか、具体的にご紹介していきます。
STEP1.過払い金請求する貸金業者から取引履歴を取り寄せ
過払い金を請求するために、貸金業者から取引履歴を取り寄せて、引き直し計算をおこなう必要があります。
取引履歴を取り寄せるには、過去に利用した貸金業者NI郵送・インターネット・窓口などで請求します。
貸金業者にもよりますが、基本的に約1週間~約2ヵ月程度で取り寄せることができますが、自分(個人)で取引履歴を取り寄せると約2ヵ月以上かかることもあります。
貸金業者が過払い金の専門家でないと、足元を見てを対応を後回しにする場合があるためです。
STEP2.過払い金の引き直し計算ソフトをダウンロード
取引履歴を入手したら、取引履歴に記載されている数字をもとに、過払い金の引き直し計算をします。
この利息引き直し計算を自力でするのは、かなりの労力を必要としますが、計算を簡単におこなえるソフトがインターネット上に公開されています。
無料の計算ソフトも存在するので、活用するとよいでしょう。過払い金の計算ソフトのダウンロードは30分ほどで終わります。
主な過払い金の引き直し計算専用ソフトを3つ、ご紹介します。
主な計算ソフト
- TDONの計算ソフト
法律事務所向けのソフトウエア開発をおこなっているTDONのソフトです。
インストールして7日間は無料ですが、無料期間中は「印刷」と「返還請求書作成」機能は使用できません。
無料期間後、シリアルナンバー(税別3,000円)を購入すると試用期限が解除され、それ以後は無期限で利用することができます。
(注意:2019年7月9日時点ではページへのアクセスが不可) - 名古屋消費者信用問題研究会の計算ソフト「名古屋式」
名古屋消費者信用問題研究会が提供する引き直し計算ソフトです。名古屋消費者信用問題研究会は、消費者問題に関連する被害予防や被害回復、消費者の権利保護・実現を目的として愛知県内の弁護士を中心に結成された研究会です。無料で使用期限もありません。取引日・借入額・返済額を入力すると利息が自動で計算され、過払い金の発生額がわかります。
エクセルのテンプレートを使っているため、パソコンにエクセルがインストールされている必要がありますが、ソフトウエア自体は無料で使用できるため人気のあるソフトです。 - アドリテム司法書士法人の計算ソフト「外山式」
新潟県にある司法書士法人が、無料公開している引き直し計算ソフトです。こちらも無料で使用期限がありません。
取引日・借入額・返済額をデータ入力シートに入力して、転記ボタンを押すと利息が自動で計算され、計算書シートに結果が表示されます。
また、こちらもエクセルのテンプレートを使っているため、パソコンにエクセルがインストールされている必要がありますが、フリーソフトなので無料で使うことが可能です。
STEP3.過払い金の引き直し計算ソフトにより計算
ダウンロードした計算ソフトを使って実際に引き直し計算をおこないます。
取引日時や借入金額・返済金額、金利などを指定された場所へ入力し、あとは計算開始のアイコンをクリックするだけです。あとは、自動的に計算を開始して過払い金を算出してくれます。約30分ほどで終了します。
ただし、ご自分で計算する場合、過払い金計算を間違ってしまうと、過払い金を減額されたり、過払い金を請求できなくなってしまことさえありますので、入力間違いがないようにしましょう。
また、貸金業者との取引期間が長い場合や完済と借入を何度も繰り返している場合には、引き直し計算の内容が複雑になりますので、より慎重に計算してください。
引き直し計算が正確にできるか不安な場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
STEP4.過払い金返還請求書を送付
過払い金返還請求書には、以下の項目を記載し、自分の氏名の横に捺印します。
- 日付
- 過払い金請求をする貸金業者名
- 過払い金請求をする貸金業者の代表名
- 自分の名前
- 住所
- 連絡先電話番号
- 振込口座名
- 口座番号
- 契約番号や会員番号
- 「利息を引き直し計算した結果、○○円の過払い金があることが判明したので返還の請求をする」などの目的
過払い金返還請求書を送付する際は、内容証明郵便を使いましょう。
内容証明郵便は約1200円~1500円の費用がかかりますが、「誰が、いつ、誰に送ったか」を証明できるため、貸金業者の「過払い金返還請求書なんて届いていない」という主張を防ぐことができます。
過払い金返還請求書の作成に1~2時間程度必要だと思われます。
過払い金の引き直し計算をしたときの計算書も必要ですので、忘れずに別途、送付してください。
STEP5.過払い金請求において交渉
過払い金返還請求書を送ると貸金業者から連絡が入ります。
過払い金額や支払い方法、期限について話し合いで交渉し、提案内容に納得できる場合は和解となり、過払い金が返還されます。
貸金業者の提示してきた和解内容に納得できない場合は、裁判になります。
和解交渉は、電話でおこなう場合もありますが、交渉を円滑におこなうためには直接会って行うことをおすすめします。
貸金業者にごとに異なりますが、話し合いでの交渉は、通常約1ヵ月~約3ヵ月ほどかかります。しかし、
交渉の相手が専門家ではない場合は、過払い金を少なくしたり、過払い金の支払いを先延ばしにする提案をしてくるので時間がかかる傾向があります。
過払い金請求の対応に慣れている貸金業者との交渉で自分が不利にならないためには、過払い金請求に関する相当な知識と交渉力が必要です。
STEP6.過払い金請求の裁判
過払い金請求の和解交渉で貸金業者側から提示された内容に納得がいかない場合は、裁判をすることができます。
裁判は、和解交渉よりも時間がかかりますが、より多くの過払い金を回収できる可能性が高くなります。
自分で裁判をする場合は、ご自身で必要書類を作成して、裁判所に提出し、裁判所に出廷する必要があります。
裁判になった場合に必要な書類
- 取引履歴書
- 引き直し計算書
- 証拠説明書
- 訴状、貸金業者の代表者事項証明書
※裁判になった場合は、取引履歴書、引き直し計算書、証拠説明書、訴状、貸金業者がそれぞれ3通(裁判所用の正本、被告用の副本、原告用の控え用として)、代表者事項証明書が1通必要になります。
代表者事項証明書を法務局で取得し、その他の資料を自分で作成すると、1週間ほどかかります。
さらに過払い金請求の裁判での和解または判決までにかかる期間は、早くても約3ヵ月、長くなると1年以上もかかることがあるので、裁判に進む場合は、覚悟しておきましょう。
自分で過払い金請求をするためには書類だけでなく、過払い金請求に関する法律の知識も習得しなければなりません。
書類の準備をするうえでも過払い金の知識は必要ですし、何よりも貸金業者としっかり交渉するためには法律知識などもしっかり身につけておく必要があります。
STEP7.過払い金が貸金業者より振り込み
和解交渉あるいは裁判での判決によって過払い金の返還金額が決定すると、過払い金が指定した口座へ振り込まれることになります。
過払い金が返還される期間は貸金業者によって異なりますが、和解または判決後約2〜4カ月が目安です。
貸金業者によっては過払い金の振込が遅い、または振り込みをしないケースもあります。
その場合、判決が出ていれば、強制執行の手続きをすることによって、過払い金の返還を強制的におこなうこともできます。
ただし裁判の判決前に和解した場合は、強制執行はできませんので注意ください。
請求の期間は依頼した専門家によって異なる
過払い金請求を弁護士や司法書士などの専門家に依頼する場合でも、どの専門家に依頼するかによって過払い金請求の結果は異なってきます。
過払い金請求の実績が多い事務所であれば交渉経験が豊富で、最新の貸金業者の対応状況などもよく知っているため、交渉を有利に進めることができます。
ただし、過払い金経験があまりない弁護士や司法書士に依頼すると、貸金業者に交渉を有利に進められて、返還期間が遅くなったり、返還率が悪くなったりしますので、事務所選びには注意が必要です。
弁護士や司法書士にも、医者と同じように、離婚や交通事故示談などの専門があるため、必ず借金問題に強い弁護士を選びましょう。
また、悪徳な司法書士や弁護士に依頼してトラブルになってしまうこともあります。
事務所の中にも、過払い金請求を依頼を受けているにも関わらず放置したり、貸金業者から取り戻した過払い金を着服する事務所もあるのです。
そのため、事務所を選ぶ際には、事前にホームページや口コミなどをチェックし、それぞれの事務所の得意分野が何かをしっかりと把握しておくべきです。
どの事務所に過払い金請求を依頼するべきか、慎重に見極めるようにしましょう。
裁判で請求の期間が変わる
過払い金請求の解決方法には、裁判によらない話し合い(任意交渉)で和解する方法と、裁判をする方法の2種類があります。
貸金業者と話し合いによる交渉をおこない、貸金業者からの提案内容に納得がいかない場合は裁判を起こすことが可能です。
裁判をする方が任意交渉で和解する場合よりも時間がかかりますが、そのぶん取り戻せる過払い金が大きくなる可能性があります。
なるべく多くの過払い金を取り戻したければ裁判を、少しでも早く解決したい場合は任意交渉での解決を選ぶのが良いでしょう。
裁判と任意交渉のどちらにするのかは自分の希望で決めることができます。
過払い金請求の裁判をした場合にかかる期間と返還率の目安は以下の通りです。
返還にかかる期間 | 返還率 |
約5~12ヶ月 | 約60~100% |
返還の期間は貸金業者の経営状況による
過払い金請求を受ける側の貸金業者は、返還する過払い金の額を1円でも少なくしようとします。
また、過払い金を返還する日時を1日でも遅くしようと交渉してくることもあります。
対応内容は貸金業者によっても大きく異なり、一般に経営状態が悪い貸金業者の対応はきびしいものになりがちです。
一方、大手の銀行資本が入っているなど経営状態が安定している貸金業者の対応はそこまできびしくないこともあります。
主な貸金業者の返還率と返還までの期間
貸金業者ごとの返還率と返還までの期間は、貸金業者ごとに異なるので、まとめておきます。
返還までの期間 (任意交渉) | 返還までの期間 (裁判) | 返還率 | |
アコム | 平均2ヵ月~ | 平均4ヵ月~ | 70~100% |
プロミス | 平均4ヵ月~ | 平均6ヵ月~ | 40~100% |
レイク (レイクALSA) | 平均5ヵ月~ | 平均10ヵ月~ | 70~80% |
アイフル | 平均5ヵ月~ | 平均9ヵ月~ | 30~100% |
過払い金請求は、時効がある
過払い金請求は、いつまでもできるわけではありません。
貸金業者との最後の取引から10年間が経過すると、時効が成立し、過払い金請求ができなくなります。
過払い金請求権が時効消滅してしまうと、司法書士や弁護士であっても過払い金請求をすることはできなくなります。
また、この他にも請求先の貸金業者が倒産すると過払い金請求ができなくなります。
過払い金を取り戻せなくなる前に、少しでも早く過払い金請求をすることが重要です。
過払い金返還を一日でも早くする3つの方法
過払い金請求にかかる期間を早くする方法は以下の3つがあり、自分の状況にあわせた方法を選ぶことが重要です。
- 司法書士や弁護士などの専門家に依頼
- 裁判せずに任意交渉で和解
- 少額訴訟
司法書士や弁護士などの専門家に依頼
過払い金請求にかかる期間を少しでも早くするには、司法書士や弁護士に依頼することをおすすめします。
司法書士や弁護士の専門家に依頼すれば、取引履歴の取り寄せや引き直し計算、過払い金返還請求書の作成、貸金業者との交渉などのすべてを任せることができます。
過払い金請求の実績が豊富な専門家であれば、貸金業者との交渉をスピーディに進められますし、過払い金を早く確実に、しかも多く取り戻すことができるでしょう。
裁判になった場合でも、むずかしい訴状などの作成や裁判所への出廷なども自分でする必要はありません。
裁判せずに任意交渉で和解
過払い金請求では、大きく分けて3つの解決方法があります。
- 裁判せずに貸金業者と交渉のみで和解
- 裁判中に和解
- 裁判の判決
裁判をして、和解または判決が出るまで争うと過払い金の返還までに1年以上かかるケースもあります。
返ってくるお金が少なくても過払い金を早く回収したい場合は、裁判をせずに貸金業者との話し合いで和解するほうがよいでしょう。
少額訴訟
少額訴訟とは、過払い金の額が60万円以下の時に利用できる1日で審理が終わる,特別な訴訟手続です。
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