個人再生

個人再生をすると退職金に影響はあるのか?清算価値は8分の1に?

退職金を受け取る前と後で退職金の扱いが変わってきます。

退職金を受け取る前に、個人再生をすると、退職金の8分の1が財産としてみなされ、回収されます。

しかし、退職金を受け取った後に、個人再生をすると全額が財産とみなされ、すべて回収されてしまいます。

つまり、退職金を受け取る前に個人再生をする方が退職金をより多く残すことができます。

このページでは、次の内容をご紹介していきます。

  • 個人再生をするときに退職金を受け取る手順
  • 8分の1を清算価値にするための条件
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個人再生をすると退職金の受け取り見込み額が変わる

個人再生とは借金をカットして返済計画を見直すことで、3〜5年で借金を完済させる手続きです。

この手続きでは、債権者である銀行や信販会社などが債務者の財産をチェックし、債務残高から財産を引いた金額をもとにして、借金をどのくらいカットするかを決めます。

個人再生する人の多くにとって住宅は大きな財産ですが、住宅ローンの担保になっていることが多いため、財産価値はそれほど高くありません。

そこで、銀行以外の債権者が注目するのが「生命保険」や「車」そして「退職金」です。

退職金は、退職しなければ受け取ることができないため、財産とみなされ、回収されることに抵抗があるかもしれません。

しかし、働き続けていれば受け取れるはずなので、会社に対してある種の請求権が形成されていると考えられます。

個人再生では、この「退職金」も考慮して借金のカット額を決定します。退職金の見込み金額が多いと財産が多いと判断されて、カット額が変わります。

しかし、個人再生を始めたからといって、すぐに会社を退職をして、退職金を差し出す必要はありません。

また、債権者が会社に押しかけて退職金に担保設定したり、回収することもありません。

あくまで、借金をどのくらい減額するかを判断する際に、財産とみなされるということです。

個人再生では家や車の差し押さえを避ける方法はあるが…

個人再生をすると、退職金が全て差し押さえられると言われることもありますが、これは間違いです。

個人再生には、住宅ローン特則という制度があります。この制度を利用すると、住宅ローンを除いた借金総額を算定し、ここから住宅以外の資産価値を控除して返済額を決めることができます。

ただし、「住宅価値 > 住宅ローン残高」となる場合は、住宅を売却すれば返済資金に充てられる財産とみなされてしまいます。

退職金も無条件ですべてが財産として回収されるわけではなく、これと同じ仕組みとなっています。

個人再生の際に、退職金が債務カットの計算に含まれると、退職金が多くもらえる会社に勤めているほど「財産」が増加して、借金のカット額が少なくなり、返済額が多くなります。

しかし、個人再生の際に、財産とみなされる退職金は、見込み金額の全額ではなく8分の1です。

退職金制度は、あったとしても将来実際に支払われるかどうかはわかりません。また、公務員のように、退職金が年々減少しているところもあります。

このように、退職金は、あくまで将来の試算であり、不確定要素が多いため、8分の1とされています。

個人再生をしても退職金の8分の7を受け取るための具体的な条件や基準

退職金の見込み金額が大きい場合、その分、返済する金額も大きくなります。

具体的にどれくらいの金額が大きいと評価されてしまうのでしょうか。

まず個人再生で返済しなければいけない金額を知ることが大切です。

これは次の金額が100万円を超える場合、それを大きな金額とし、超えない場合も100万円は最低弁済する必要があります。

  • 債務の5分の1
  • 財産の清算価値(※)

このうち退職金は、財産の清算価値の算定に影響します。

退職していない場合、清算価値は8分の1とし、退職間近の場合、清算価値は4分の1とすると決められています。

ただし、これらは厳密に決まっているわけではなく、裁判所の裁量で若干の変動もあります。

(※)清算価値とは、その人の持つ財産をお金に換算した場合の金額のことです。

個人再生の認可決定までは退職金を受け取らないほうがいいのか

個人再生の債務カット額は、債務者が持っている財産の額によって決まります。

財産が多ければ債務カットの金額も少なくなりますが、退職金はその受取見込額の8分の1が財産として算定されます。

しかし退職金を受け取ることができる状態、つまり退職が確定するとこれが4分の1になります。

これは、全額が財産と判断されるわけではありませんが、退職金は4分の1以上の差し押さえが禁止されているためです。

そのため、個人再生の認可決定があったとしても退職の事実があり、退職金をもらえる状態になっていたら退職金の4分の1が財産の額とされてしまいます。

しかし、退職金を受け取ってしまうと、その財産は「現金」とみなされます。

個人再生認可決定の時には、毎月の返済額が決まるため、退職金をもらっても基本的に影響はありませんが、できれば認可決定がされるまで受け取りを留保にしたほうがいいかもしれません。

少しでも不安がある方はまず相談しましょう

清算価値は、退職金を受け取っていなければ「その時点での支払見込額の8分の1」、退職金の支払いが確定していれば「支払額の4分の1」と決まっていますが、実際に受け取ると「預金」となり、財産に含まれます。

つまり、8分の1や4分の1という「特例」は適用されず、退職金は全て差し押さえられてしまいます。

個人再生は、債権者との交渉です。そのため、借金問題に詳しく交渉力が強い弁護士や司法書士に依頼することで交渉結果が大きく変わってきます。

また、個人再生を行う際は、退職金見込額を把握するために「退職金見込額証明書」を会社から得る必要もあります。

いくつか必要な書類や資料もあるので、個人再生をする前に弁護士や司法書士に無料相談しておくことをおすすめします。

弁護士や司法書士というと、多額の費用がかかるイメージをお持ちかもしれません。また、ハードルが高く、「自分には関係ない…」と思ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、最近は債務整理を多く扱う弁護士・司法書士事務所なら、分割払いに応じてくれるなど、お金に困っている人に寄り添ったサービスを用意していることも多く、利用しやすくなっています。

借金問題は放置していても、何の解決にもなりません。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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