子供が大学や短大への進学を控えていて、「教育ローンや奨学金が借りられなくなるのでは…?」と心配している相談者も多いです。
すでに任意整理をしていて不安の方もいるかもしれません。
そこで今回は、任意整理をすると教育ローン・奨学金への影響についてご紹介していきます。
混同されがちですが、「教育ローン」と「奨学金」は分けて考える必要があります。
教育ローンについて
教育ローンは「民間が提供するもの」と「国が提供するもの」の2つあります。
任意整理すると、民間の金融機関(銀行・信販会社・ろうきん等)が提供する教育ローンは、最低5年間、組めなくなります。
また、国の金融機関が提供する教育ローンは、民間企業よりは審査のハードルは下がりますが、信用情報機関の個人情報を確認するため、ローンが組めない可能性が高いです。
奨学金について
教育ローンは親が借入れをしますが、奨学金は子供本人が借入れをします。そのため、親が任意整理していても、奨学金は借りることができます。
目次
任意整理をするとブラックリストに登録されて教育ローンが利用できない?
任意整理をすると、個人信用情報に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに登録されます。
このことは、教育ローンにどのような影響を与えるのでしょうか?
教育ローンには、国の教育ローンと民間の教育ローンがあります。その違いについても押さえておきましょう。
そもそも教育ローンとは
子どもが高校や大学、専門学校などに進学する際には、多額のお金がかかります。
入学金や授業料、書籍代や学習用具、自宅外から通学する場合には下宿代も必要です。
教育ローンは、このような教育資金が足りない家庭のために、お金を貸し付けるローンです。つまり、保護者が子どものために借り入れをするということです。
教育ローンには、「民間の金融機関が提供するもの」と「国の金融機関が提供するもの」があります。
- 銀行(都銀・地銀・ネット銀行)
- ろうきん
- 信用金庫
- JA(農協)
- 信販会社
国の金融機関
- 日本政策金融公庫
「民間の教育ローン」と「国の教育ローン」の違いは?
民間の金融機関は、当然ですが、営利目的です。
貸したお金を回収して利息を支払ってもらえなければ、会社を経営できません。
そのため、返済能力が高い人にお貸付をします。そのため、審査は厳しく、世帯年収が高い方が有利になります。
一方で国の教育ローンは、民間とは少し異なります。
国の教育ローンを実施している日本政策金融公庫は、昔の国民生活金融公庫と農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が合併して2008年に成立した政府系の金融機関です。
国の教育ローンは、経済的に厳しい人たちの子どもにも進学の機会を与える目的で提供されています。そのため、民間とは異なり、世帯年収に「上限」を設けており、民間よりも低い利率が設定されています。
親の年収が高すぎると、国の教育ローンは受けられません。
たとえば、親がサラリーマンの場合、子どもが1人なら年収が790万円以下、2人なら890万円以下、3人なら990万円以下の年収でないと、国の教育ローンは利用できません。
したがって、年収が低い世帯では、民間の教育ローンよりも国の教育ローンの方が審査に通りやすいことがあります。
また、貸付の上限額にも違いがあります。
国の教育ローンの場合、貸付の上限額は300万円となりますが、民間の教育ローンの場合、上限額はおよそ700万円などの高額になるケースもあります。
任意整理をすると、「最低5年間」は教育ローンが組めない
保護者であるご自身が任意整理をすると、その後一定期間は教育ローンを利用する事ができなくなります。
任意整理などの債務整理手続きを利用すると、信用情報機関が保管している個人信用情報に事故情報が登録されてしまいます。いわゆるブラックリストの状態です。
金融機関は、教育ローンなどのローン申込があると、申込者の個人信用情報を照会して、その人の信用力を調査します。
銀行や信用金庫などの金融機関は、これらの信用情報機関の中でもKSC(全国銀行個人信用情報センター)に加盟しています。その他のCICやJICCにも加盟している銀行も多いです。
また、国の教育ローン事業を実施している日本政策金融公庫も、KSCとCIC(株式会社シー・アイ・シー)に加盟しています。
そのため、任意整理をして個人信用情報に事故情報が登録されている状態では、民間の教育ローンも国の教育ローンも利用する事が難しくなります。
しかし、ブラックリストの状態は一生続くわけではありません。任意整理後一定期間が経過すると消去されます。
任意整理後の事故情報登録機関は、各指定信用機関の運用にもよって異なりますが、およそ5年~7年になります。
つまり、任意整理をした後は、最低でも5年は経過しないと、教育ローンを利用する事はできないということです。
教育ローンの利用ができない場合はどうすればいいのか
国の教育ローンなら審査は通る?
残念ながら、任意整理をすると、一定期間は、教育ローンの審査に通りません。
民間の教育ローンも国の教育ローンも利用する事はできません。いずれも信用情報機関に加盟していて、ブラックリストの記録を把握しているためです。
しかし、国の教育ローンは、もともと収入が少ない親の家庭の子どもにも教育を受けさせるという救済の目的で行われている事業であり、収入が低くても通りやすいという特徴もあります。
そのため、国の教育ローンの場合には、ブラックリスト状態でも審査が通る可能性は0ではないでしょう。「だめもと」で国の教育ローンに申し込んでみるのも1つの方法です。
家族や親族の名義で教育ローンを申請する
ご自身では教育ローン審査に通らないという場合、ブラックリスト状態になっていない親戚などみじかな人に教育ローンを申し込んでもらう方法も可能です。
たとえば、祖父母や両親、兄弟などにローン申請してもらい、教育ローン借り入れすることが考えられます。あなたが確実に完済すれば、親戚に迷惑をかけることもありません。
しかし、これは大きなトラブルになる可能性が高いので、くれぐれも慎重に行う必要があります。
もしあなたがお金を返せなくなった場合、代わりにお金を借りてくれた人が借金を背負うことになります。
また、親戚が自分たちのために住宅ローンなどを組みたいと考えた場合、すでに教育ローンで一定額の借入をしていることが原因で、自分たちの住宅ローンが組めなくなるというリスクもあります。
思っている以上に周囲への影響が大きいことは理解しておきましょう。
教育ローンを利用できない場合には、申込人の名義を借りると何かとトラブルになりがちです。
これらの問題を避けるために、奨学金を利用する方法もあります。
任意整理をしても奨学金は利用できる?
親が任意整理をして教育ローンを利用できなくなった場合には、奨学金は利用できないのでしょうか?
ここからは、親が任意整理した場合に、子どもの奨学金に影響があるのかをご紹介していきます。
親が任意整理をすると、奨学金の審査に影響があるのか
教育ローンと奨学金の違い
親が任意整理でブラックリスト状態になっていても、子どもが奨学金を利用することができるのでしょうか?
この問題を考える前提として、そもそも奨学金と教育ローンがどのように異なるのかを知っておく必要があります。
教育ローンと奨学金の最大の違いは、借り入れする人が親か子ども本人かという点です。
これまでご紹介してきた「教育ローン」では、親が借り入れ人になります。そのため、審査では親の個人信用情報が確認されてしまいます。
しかし、奨学金の場合には、子どもが借り入れ人となります。
奨学金とは、子どもが借り入れ人となって子ども自身が進学のためのお金を借り入れる制度です。
奨学金 | 教育ローン | |
借主(返済主) | 学生本人 | 保護者 |
審査 | 「機関保証」を選べば親の審査はない。また「人的保証」を選び親が連帯保証人になる場合も親の審査はない。 | 親自身がお金を借りて、返済するため、親が審査ある。 |
貸付方法 | 入学後、毎月11日に一定額が子ども本人名義の口座に振り込まれる。 | 一括で親名義の口座に振り込まれる。 |
返済条件 | 在学中は、返済が猶予され利息もつかない。卒業後は子ども本人に返済義務が生じる。 | 在学中から毎月返済する必要がある。(ただし、在学中は利息の実り払いにすることも可能) |
金利 | 年利0.27%(変動) 年利0.01%(固定) | 年利1.81%(固定) |
親がブラックリスト状態でも子どもは奨学金を利用できる
奨学金を利用すると子どもへの負担が発生しますが、親が任意整理によってブラックリスト状態になっていても、奨学金であれば利用できる可能性があります。
奨学金の場合には、子どもが借主(返済主)であり、信用力のチェックを受けるのは親ではなく子どもになるためです。
たとえ、親がブラックリスト状態であっても、子どもの個人信用情報に問題がない限り、奨学金の審査に通ります。
ブラックリスト状態では、親は連帯保証人になれないことに注意
親がブラックリスト状態でも子どもは奨学金を利用できますが注意点があります。
奨学金を申請するためには、連帯保証人が必要になるということです。通常は親が連帯保証人になります。
しかし、親が任意整理でブラックリスト状態になっていると、連帯保証人になることができません。
連帯保証人を用意できないと、奨学金を利用できなくなる可能性があります。
この場合、配偶者(もう一方の親)が連帯保証人になることができれば問題ありません。
また、どうしても連帯保証人を用意することができない場合には、機関保証を利用することができます。
教育ローンの利用の心配をする前に、早めに弁護士・司法書士に相談を
借金返済に困って任意整理をすると、子どものために教育ローンを利用する事ができなくなります。
また、奨学金は利用率が高止まりしていて、利用額も年々増加しており、卒業後に返済できない人も増えています。そのため子供に借金をさせるのは避けたいという人もいるでしょう。
この場合、やはり任意整理をしない方が良いのでしょうか?
実はそのようなことはありません。結局は任意整理をして借金を整理した方が、子どもを含めた家族みんなのためになります。
借金がかさんでいる場合、任意整理をしなくても、すでにブラックリストに登録されていることがほとんどで、結局は教育ローンを利用できなくなる可能性が高いからです。
借金は2〜3ヶ月延滞するとブラックリストに
任意整理をすると教育ローンも利用できなくなるため、任意整理を躊躇する方がいます。
しかし、それには意味がありません。
借金がかさんで返済が苦しい場合には、残念ながら、すでにブラックリスト状態になる可能性が高いです。
借金は、一般的に61日~90日間程度滞納するとブラックリストに登録されてしまいます。そうなると、当然教育ローンは利用できなくなります。
また、借金を滞納した場合、任意整理にした場合よりもブラックリストの登録期間が長くなる可能性が高いです。
借金返済の延滞情報は、延滞解消しない限り抹消されることはありません。そのため、借金返済ができなくなって滞納し続けていると、一生ブラックリスト状態が続く可能性もあります。
延滞状態を解消しても、最低5年間は延滞情報が登録され続けるため、ブラックリストに登録された状態が続きます。
延滞情報を消すには債務整理が有効
延滞情報を抹消してブラックリスト状態から解放されるには、結局は債務整理をすることが一番の近道になります。
債務整理をすると、たとえば任意整理の場合には、手続き後5年~7年程度で事故情報が消去されてブラックリスト状態から解放されます。
もともと借金を滞納していても、任意整理によって借金を完済出来るので、任意整理をすればブラックリスト状態から抜け出すことができるのです。
確かに任意整理をすると教育ローンが利用できなくなりますが、借金返済を延滞してブラックリスト状態になってしまったら、結局は教育ローンの利用はできないのです。
それよりも、早期に借金を整理して、延滞によるブラックリスト状態を早期に解消する方が利益になります。
任意整理に強い弁護士・司法書士を探して手続きしよう
これまで見てきたように、借金がかさんでいて延滞しそうな場合や、すでに延滞している場合には、なるべく早く任意整理をして借金問題を解決することをお勧めします。
任意整理をする場合には、債務整理に強い良い弁護士・司法書士に依頼しましょう。
弁護士・司法書士も医師と同じように専門分野があります。任意整理に積極的に取り組んでいる実績の高い弁護士・司法書士を探すことが重要です。
債務整理に強い弁護士・司法書士に依頼をすれば、スムーズに手続をすすめて借金問題を早期に解決してくれます。
しっかり交渉をして、月々の返済額も少額に抑えてくれるので、手続き後の返済も続けやすいです。
任意整理で決まった借金返済を継続して完済すれば、数年後にはブラックリスト状態から解放されるので、教育ローンや住宅ローンなどの利用もできるようになります。
教育ローンを利用できなくなることが原因で任意整理を躊躇している場合、借金問題を放置していても良いことはないので、まずは1度無料相談をして弁護士・司法書士にアドバイスをもらいましょう。
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