子供が大学や短大への進学を控えていて、「自分が債務整理をすると子どもが奨学金が借りられなくなるのでは…?」と心配している相談者も多いです。
そこで今回は、債務整理をした場合の奨学金への影響についてご紹介していきます。
- 奨学金は学生本人が借り入れるため、保護者の返済能力や信用情報は影響しない
- 奨学金を貸付している日本学生支援機構は、株式会社シー・アイ・シー(CIC)という信用情報機関に加盟しているが、審査時には利用していない
- 債務整理中の場合、連帯保証人にはなれない。しかし、「機関保証」を指定すれば影響はない
目次
奨学金の審査時に保護者の信用情報は影響しない
奨学金は、学生本人が借り入れをし、学校を卒業後に自分自身で返済する制度です。
学生本人が借り入れをするため、保護者の信用情報が子どもの奨学金の審査に影響することはありません。
また、低収入で進学が難しい家庭の支援制度であるため、「保護者の世帯年収の上限額」は定められていますが、返済能力についての条件はありません。
奨学金の2つの審査項目
日本学生支援機構が貸付している奨学金には、利子がつかない「第一種奨学金」と利子がつく「第二種奨学金」があります。
それぞれで世帯収入には以下のような上限が設定されています。
あくまで目安です。年収上限を超えていても特別控除などで基準を満たしている場合は、奨学金が利用できることもあります。
一方で、年収が下回っていても日本学生支援機構に貸付できるお金がなければ、奨学金を利用できないこともあります。
世帯年収
給与所得者 | 自営業 | |||||
第一種 | 第二種 | 併用 | 第一種 | 第二種 | 併用 | |
3人世帯 | 657万円 | 1009万円 | 599万円 | 286万円 | 601万円 | 245万円 |
4人世帯 | 747万円 | 1100万円 | 686万円 | 349万円 | 692万円 | 306万円 |
5人世帯 | 922万円 | 1300万円 | 884万円 | 514万円 | 892万円 | 476万円 |
学力
学力による条件は以下のようになっています。
以下のいずれかを満たす必要があります。また、広告側から水仙が必要になります。
第一種 | 第二種 |
以下のいずれかを満たしていること ・全履修科目の評定平均値が5段階で3.5以上であること ・父母の収入が両方とも住民税非課税の水準の場合(目安:年収100万円以下)は、評定平均値に関係なく、特定分野で優れた資質能力(又は進学後の優れた学習成績見込み)があること | 以下のいずれかを満たしていること ・全履修科目の成績が、党学校のその生徒の属する学年の平均水準以上であること ・特定分野で特に優れた資質能力があること ・大学での学習意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあること ・高卒認定試験に合格していること |
奨学金における保証制度
奨学金の保証制度には、「機関保証」と「人的保証」の2つがあります。
人的保証 | 機関保証 |
保証機関(日本国際教育支援協会)に保障を依頼する制度です。保障料の支払いが必要になるが、その代わり、連帯保証人を指定する必要がなくなります。借り入れ金額によって、1ヶ月当たり2000円〜5000円ほどの保障料が奨学金から天引きされます。 | 連帯保証人2人(原則:父母)と保証人1人(別生計を営む4親等以内の親族)が返済を保障する制度です。保障料は必要ありませんが、身内に返済義務が生じるリスクを負ってもらう必要があります。 |
保護者が債務整理中の場合は、「機関保証」を選ぶことになります。
人的保証を選び、連帯保証人になるためには、満たすべき条件があります。
連帯保証人の主な条件
- 原則、父母であること
- 未成年および学生ではないこと
- 債務整理中(破産など)でないこと
実は、連帯保証人になるための条件の一つに、「債務整理中でないこと」が明記されています。
したがって、保護者が債務整理をしていた場合、奨学金を利用することはできますが、「機関保証」を選ぶ必要があります。
なお、この「債務整理中」とは、手続きの途中を指しています。
そのため、現在も借金を返済中でも、任意整理などで和解済みであれば問題ありません。
人的保証で保護者の信用情報は確認されるのか
債務整理中でなければ、保護者が連帯保証人になる「人的保証」を選ぶことができます。
しかし、ここで気になるのが「親の信用情報が審査に影響しないか?」ということです。
結論から言うと、保護者が連帯保証人になるときに、保護者の信用情報が、奨学金の受給の可否に影響することはないと考えて問題ありません。
仮に、保護者の返済能力に問題があると判断された場合も、「機関保証」への変更を進められるだけです。
奨学金の貸付自体が取り消されることはありません。
また、実は保護者の信用情報が確認されるのは、すでに奨学金の採用がほとんど決まっている段階になります。
奨学金の申し込みから支給まで流れ
- 1.申し込み
高校を通じて必要書類を提出する(日本学生支援機構が高校の推薦をもとに審査・選考) - 2.採用候補者決定通知
高校を通じて審査結果が通知される - 3.高校卒業・進学
・大学等の採用説明会に参加する
・進学届を提出する - 4.採用決定
・奨学金の支給が開始される
・奨学生証が交付される
・返還誓約書を提出する
奨学金の採用が決定されると、進学したのちに、大学の窓口に「返還誓約書」を提出します。
もし「人的保証」を選択していた場合は、この書類に連帯保証人の保護者もサインすることになります。
この際に、「個人信用情報の取扱同意書」が含まれています。これに同意している以上は、保護者の個人信用情報が確認される可能性はゼロではありません。
しかし、日本学生支援機構は、「与信判断に信用情報は利用しない」と明言しているため、問題になることはないでしょう。