自己破産や任意整理などの債務整理は、経済的に追い込まれた人を救済する手段として重要なものです。
だからといって簡単に債務整理を利用するのは、思わぬデメリットに直面してしまったというケースも少なくありません。
そこで、今回はでは債務整理を利用することのデメリットについてご紹介していきます。
まず任意整理、特定調停、個人再生、自己破産、という全ての債務整理手続きを利用した場合のデメリットとして挙げられるのが、信用情報機関への登録です。
債務整理を行ったことが信用情報機関へ登録されてしまうと、金融事故として扱われます。
そして、原則として消費者金融や銀行などの金融機関からお金を借り入れることができなくなります。
ただし、手続きにもよりますが最大で10年が過ぎた後は事故登録は消去されるため、その後は従来通り融資を受けることができるようになります。
そして、保証人が付いている債務を整理する場合にも大きなデメリットがあります。
特に自己破産をした場合には、申立人の債務は帳消しとなりますが、保証人が負っている借金はそのまま残ってしまうため、保証人に対して多大な負担を掛けることになります。
そのため、保証人が付いている場合には、勝手に債務整理を行うことは避けて必ず事前に相談をしておきましょう。
このように借金問題の手続きは複雑で、かつ専門知識がないとどの手続きをするべきか、判断できないことが多いです。
例えば自己破産しか無いと思った人が任意整理を行うことはよくあります。
実際、債務整理手続きの8割は任意整理が行われていると言われています。
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目次
デメリットの内容
その他、自己破産・個人再生を利用した場合のデメリットとしては、官報への掲載が挙げられます。
官報へ掲載されると、誰でも債務整理を当人が利用したということを知れるようになってしまうため、そのことを隠すことはできなくなってしまいます。
とは言っても、いちいち官報を見ているような人は決して多くはありませんので、官報によって知人に自己破産が知られてしまうケースは稀です。
違法業者の場合には官報から情報を見て、貸し付けの案内とするダイレクトメールを送ってくる場合もありますので、安易な考えで自己破産はしないようにしたいものです。
補足として、債務整理をすると信用情報機関に登録されるデメリットは既に支払いを滞納している人はあまり大きなデメリットにはなりません。
というんも返済ができなくなって3ヶ月滞納してしまっても同じくブラックになります。
なので、既に返済ができていない、今後もできそうに無いのであればデメリットとしては小さなものと言えるでしょう。
持ち家がある人が債務整理をするとどうなるのか
他にもデメリットと知っておきたいことは持ち家の扱いです。
債務整理を行う場合、いくつか方法がありますが、資産として自宅があった場合、その持ち家はどうなってしまのか、債務整理の方法別に紹介していきます。
自己破産
この場合資産はほぼ全て処分されてしまうので、持ち家についても競売にかけられ現金化した上で債権者に配分します。
持ち家がある場合はなるべく自己破産という手段は避けたほうが良いでしょう。
しかし、返済する能力が殆ど無い場合には資産をすべて処分して、債務の免除を受けて一からやり直すことも必要です。
任意整理・特定調停
これらの方法は基本的に話し合いによる和解なので、持ち家がどうなるかは交渉や状況次第ということになります。
特定調停は裁判所への申し立てによって行われますが、債権者が多数の場合は調整が難航するので、債権者が少ない場合に利用するといいでしょう。
任意整理は弁護士・司法書士に依頼して債権者と和解する方法です。
債権者数が多くても法律のプロである弁護士・司法書士が交渉するので、最も臨機応変に対応することができます。
個人再生
個人再生は自己破産に比べると持ち家が残る可能性はあります。
しかし、持ち家を残すためにはいろいろな条件をクリアしなければいけないので、それほど簡単なことではありません。
基本的には持ち家の資産的価値が低いこと、住宅ローンが残っているといった点が重要となります。
持ち家がある人が個人再生をした場合のメリットとデメリット
個人再生では住宅ローン特則という制度があります。
この特則の条件に当てはまるのであれば、持ち家を残したままで個人再生の適用を受けることができます。
基本的に、住宅ローンは減額されないのでローン残高が多ければ返済が難しくなります。
個人再生の条件
- 支払不能のおそれがない
- 安定した収入がある
- 住宅ローンを除く債務金額が5,000万円以下
住宅ローンを減額せずに支払うことが可能であれば、その他の債務金額は1/5または100万円まで減額されます。
なので、住宅ローン以外の債務金額が大きくないほど持ち家を残して支払いを続ける可能性が高くなります。
自己破産に比べると、個人再生の場合は資産を処分せずに済む可能性があります。
住宅ローンが残っている場合と、完済している場合ではメリット・デメリットが大きく違うので注意が必要です。
個人再生の最大のメリットは5,000万円までの債務であれば最大1/10まで減額されるという点です。
ところが、自宅などの資産がある場合は資産価値から住宅ローン債務を差し引いた金額と、減額後の債務金額を比較して大きい金額のほうが個人再生の対象となります。
つまり、資産価値が高く住宅ローン金額が少ないかゼロの場合は全く減額がないケースもあるので、こうなるとデメリットというよりも個人再生の意味がなくなるのです。
持ち家を残したまま個人再生をする方法
個人再生で持ち家を残すためには、住宅の資産価値と住宅ローン残高が重要となります。
住宅ローンが残っていない場合、持ち家の価値はそのまま資産として計算されます。
住宅ローンがある場合は住宅の価値から住宅ローン残高を差し引いた金額が資産となります。
住宅ローンを除く債務総額 減額後の借金
- 負債総額が100万円未満 減額なし
- 負債総額が100万円以上500万円未満 100万円に減額
- 負債総額が500万円以上1500万円未満 5分の1に減額
- 負債総額が1500万円以上3000万円未満 300万円に減額
- 負債総額が3000万円以上5000万円以下 10分の1に減額
個人再生では住宅ローン以外の債務総額は上記のように1/5~1/10まで減額されますが、その金額と資産価値を比較して多い金額を3年間で返済することになります。
持ち家を残したいと思っても個人再生では自分の意志で残せるわけではありません。
負債総額と持ち家の価値、住宅ローンの有無との関係によって決まります。
個人再生で持ち家を残せる確実な方法はないので、任意整理といった手段を選択することをおすすめします。
個人再生で持ち家を残せるケースと条件
個人再生で持ち家を残せるケースには次のような場合があります。
住宅ローンがない場合
自宅の資産価値が減額後の債務金額と比較して少なければ、減額が適用されるので住宅を残したまま個人再生が可能となります。
住宅ローンがある場合
基本には高額な資産を残したまま個人再生をすることは債権者にすれば許されない行為となり、法的にも債権者の利益を極端に損ねることになるので認められません。
そのため、資産価値から住宅ローンを差し引いた純粋な資産価値よりも大きい債務金額でなければ、個人再生は認められません。
認められる可能性があるのは資産価値以上の債務金額がある場合だけとなります。
住宅ローンがある場合でもない場合でも、自宅の評価金額が高いほど更に住宅ローンがないか残高が少ないほど、個人再生には適さなくなります。
資産価値が1,000万円以上あるのに、2,000万円の債務総額が300万円に減額されることはなく、資産価値の1,000万円を3年で支払わなければいけなくなります。
これでは減額のメリットがないので個人再生するメリットも意味もないということです。
ローンが残っている家とローンを完済した家の違い
ローンが完済している場合
ローン完済した持ち家があっても個人再生が認められた場合は、資産価値が殆ど無いか、資産価値以上の債務があるということになります。
持ち家を残したまま返済を続けることになり、完済すれば持ち家はそのまま残り処分する必要もなくなります。
住宅ローンは残っていても減額されずにそのまま支払うことになりますが、住宅ローンの残高が少ないほど資産価値が高くなります。基本的に個人再生での支払い完了後に高額な資産が残るということは認められません。
少なくても資産価値に見合った金額を3年以内に返済できなければ個人再生は認められないのです。
返済さえ可能であれば個人再生が認められる限り持ち家の処分は必要ありません。
基本的に自宅の資産価値を評価した金額から住宅ローン残高を差し引いた金額(A)が、減額後の債務総額(B)と比較してどれくらいになるのかということが重要です。
Aが極端にBよりも大きくなると減額が適用されないので個人再生のメリットがなくなります。
ローン残高が住宅の時価を上回る場合の個人再生には注意が必要
例えば住宅ローンの残高が1,000万円あり、自宅の評価額が1,500万円だとすると差し引きで500万円の資産価値があることになります。
住宅ローン以外の債務総額が500万円だとすると100万円に減額されます。
これでは100万円を3年で支払うと500万円の資産を残すことができ、債権者に不利となります。
自宅を処分すれば住宅ローンを相殺して500万円残るので、債権者は債務金額全額が戻るからです。
債権者に極端に不利にならないように資産価値と減額後の債務金額を比較して大きい金額を支払うことになります。
この場合は500万円を3年で支払い、なおかつ住宅ローンも減額なしで返済を続けることになります。
この返済能力があると認められなければ個人再生は承認されません。
個人再生の意味が無い場合
自宅の時価が住宅ローン残高を上回り価値が高く、減額後の債務総額をも上回っていると個人再生の減額が適用されず全く意味がなくなってしまいます。
自宅の価値が高い場合は個人再生ではなく、まずは自宅の処分によって借金を返済することを考えたほうが合理的です。
どうしても自宅を残したいというのであれば、個人再生を選ばず任意整理によって交渉することになります。
しかし、任意整理の場合でも高い価値の不動産が存在していることが債権者にわかってしまうと、その処分を迫られることになり減額などの交渉は難しくなることも予想されます。
基本的に借金を抱えた一方で価値の高い資産を残したいというのは難しいということになります。
個人再生の手続きを行うなら
個人再生の手続きは複雑なので、弁護士・司法書士のサポートが必要不可欠です。
個人再生の返済期間は原則3年、最大5年まで延長可能
個人再生では、圧縮した債務を3年で分割返済する再生計画を裁判所に提出し、認可を受けなければなりません。
返済期間は特別な事情があり、裁判所が認めれば最長5年まで延長することが可能です。
また、返済の間隔は3か月に1回以上と決められています。
再生計画案が認められない場合
再生計画案には、毎月やボーナス時など、支払う間隔と金額、回数、支払い方法を記載します。
再生計画案は、必要な要件を満たしていない場合や、実行の可能性が低い返済計画では認可されません。
例えば、100万円を36か月で毎月返済するなら、1回の返済額は約2万8,000円です。
住宅ローン特則を使えば、さらに住宅ローンの返済分が加わります。この合計が収入から無理なく返済できる金額なら、認可の可能性は高くなります。
個人再生の手続きは複雑で、あらゆる観点から慎重に検討しなければなりません。
もし再生期間中に返済が困難になったときは再生計画が取り消され、借金を全額返済する義務が復活してしまうこともあります。
確実に手続きを進めるためにも、専門家である弁護士・司法書士のアドバイスを受けながら、最適な方法で借金を解決しましょう。
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個人再生の手続きは、裁判所も介入するためよく行われる任意整理手続きとは勝手が違います。
借金問題の解決件数が少ない弁護士・司法書士頼んでも、弁護士・司法書士によっては個人再生はできない弁護士・司法書士も実は多くいます。
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