借金滞納

国民健康保険を滞納してしまったら…一体どうなるの?対処法は?

日本では、全ての国民が公的医療保険に加入することが義務とされています。

公的医療保険には、大きく「国民健康保険」と「会社員などが加入する健康保険(社会保険)」の2つがあります。

いわゆる社会保険は給与から天引きされているため意識することはないかもしれません。一方で、自営業者や無職の人などは、自ら国民健康保険に加入しなければなりません。

この国民健康保険は、大きな病気や怪我などによる医療費を保険で補償するための制度であり、日本の皆保険制度を支えています。毎月保険料を支払うことで、万が一診療が必要になった際の医療費の自己負担を軽減させることができます。

しかし、この国民健康保険料は安くはないため、急な収入の減少などで滞納してしまう方も多く、厚生労働省の調査では、2018年度に保険料・税(国保料)を滞納していた世帯が全加入世帯の約15%にあたる約269万世帯にものぼることが分かりました。

国民健康保険は、診療しなければ実感がわかないため、国民健康保険を滞納してしまった相談者の多くが必要性を感じず、危機感が薄い方が多いようです。しかし、国民健康保険は加入義務があるため、支払いも必須です。

もし滞納し続けてしまうと、どうなってしまうのでしょうか。

この記事のポイント
  • 病気や怪我で受診できない危険性も
    滞納期間が長くなると、健康保険証が失効してしまいます。つまり、満額実費で医療費を負担することになります。後から納税し、保険給付を申請することもできますが、状況によっては給付が受けられずに滞納金の返済に回されます。実質的に、費用が不足して受診できない状況に陥ります。
  • 最悪の場合、差し押さえなどの法的措置も
    さらに長期間滞納すると財産の差し押さえが始まります。滞納金額が大きく、手元の財産で返済できなければ、自宅など不動産も差し押さえられてしまいます。
  • 他にも借金を抱えている場合は、すぐに債務整理の検討を
    国民健康保険を滞納する方の多くは、その他の借金をしていることが多いです。この場合、借金生活を根本的に見直すために債務整理を検討してみましょう。他の借金の返済計画を見直すことで、国民健康保険の返済にも目処が立つかもしれません。借金問題に強い弁護士や司法書士に無料相談することをお勧めします。
  • この記事は、当サイト提携の法務・法律事務所の監修のもと、提供しております。
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    目次

    国民健康保険は免除されない

    日本には「国民皆保険制度」が導入されています。これは、全ての日本国民が日本全国どこでも同じ医療費で平等に医療が受けられる制度のことです。

    この制度のため、医療費にかかる一人一人の負担を軽くするため、全国民から少しずつお金を集め、集めたお金を医療が必要な人に給付する「支え合い」の仕組みになっています。

    つまり、国民健康保険に加入して保険料を支払うということは、誰かの助けになります。逆に支払わずに医療サービスを受けていれば、ただで医療を利用していることになり、許されることではありません。

    このような背景から国民健康保険は滞納しても支払いは免除になりません。国民健康保険の加入と支払いは義務です。

    保険料の支払いは国民の義務

    国民健康保険の保険料は税金と同じで義務です。そのため、何があっても支払いが必要です。

    たとえ、どんなに生活が苦しく、自己破産としたとしても支払いの義務はなくなりません。国民健康保険の保険料は「非免責債権」と呼ばれています。

    滞納しても逃れることはできず、延滞税などの利息が加算されてしまいます。

    保険料の滞納金に「時効」は事実上は利用できない

    実は、借金には時効があります。借りたお金や滞納しているお金を支払わなくても良いという制度です。不思議に思うかもしれませんが、これはあくまでも20年や30年も経過して、誰も事実確認できない状況で借金の取り立てをすることを防ぐことが目的です。
    (恐喝なのか、本当に借金なのか、分かりませんよね。)

    一見、借金した人が有利になるような制度ですが、実は、この時効が成立するためには、さまざまな条件があります。

    保険料の場合は、滞納を始めた日から時効成立日まで一度も請求(督促)が無く、2年が経過していることが必要条件になります。

    督促の電話に対応したり、途中で請求や差押え命令が届くと、その時点で時効期間はリセットされます。滞納するとすぐに督促状や督促の電話が入るため、現実的には時効を成立させることはほぼ不可能です。

    時々、時効の中断を防ぐために「取り立ての電話に出ない」などのアドバイスをするサイトを見かけますが、お勧めしません。取り立てを無視すると、利息が大きくなり、裁判や強制差し押さえに発展してしまいます。

    あくまで清正粛々と解決しましょう。

    国民健康保険を滞納するとどうなるのか?

    • STEP1
      督促状が届く
      納付期限が過ぎると、すぐに国民健康保険を管掌してい自治体から請求書と督促状が送られてきます。

      一般的には、納付期限の翌月20日までに支払うように記載されることが多いです。この請求書の支払いを期日までに行えば、問題ありません。

      しかし、さらに滞納すると、取り立ての対応が厳しくなり、頻繁に督促の電話がきたり、自宅に訪問がされることもあります。

    • STEP2
      「短期被保険者証」になる
      自治体によって異なりますが、滞納期間が2ヶ月~6ヶ月ほど続くと健康保険証が「短期被保険者証」に切り替わります。

      こうなってしまうと、手元の健康保険証が利用できなくなります。短期被保険者証の利用期限は短く、その都度、更新手続きが必要になります。また、更新するためには、納税も必要です。

      ご家族がいる場合は、急な怪我や病気で突然健康保険が使えなくなる可能性があるため、保険料を滞納している場合は、必ず自治体で保険証の効力を確認しておきましょう。

    • STEP3
      保険証を返納、「被保険者資格証明書」になる
      1年以上滞納し続けると「短期被保険者証」も返納することになります。代わりに「被保険者資格証明書」が交付されます。

      被保険者資格証明書とは、国民健康保険に加入しているという資格のみを証明する書類です。保険料の支払いをしていないこと証明書とも言えます。

      こうなると、病院で受診したときに医療費の全額前払いが必要になります。

      受診料の10割(全額)を実費で負担し、自己負担を超えた部分は、後に自治体に申請することになります。一時的に医療費を全額負担しなければならないので、利用者にとっては非常に医療費負担が大きくなります。

      また、納税状況によっては、自治体に申請しても還付されることなく、滞納している保険料に充てられることもあり、事実上、病院を受診できなくなる方も少なくありません。

      さらに、多くの自治体では1年6か月以上滞納を続けると、高額療養費、出産育児一時金等の給付金の全てまたは一部を差し止めることもあります。

    保険料滞納によるデメリット

    高額な延滞税が発生

    年14.6%という高い利率が適用される高額な延滞税が発生します。この利率は消費者金融でお金を借りるよりも高く付きます。それだけ延滞に対しては厳しく対応されます。

    高額な延滞金は以下のように計算され、1日ごとに金額が膨らんでいきます。この計算式からも分かるように、お金の悩みは1日も早く解決することが大切です。

    滞納料金×延滞金利率(年率)×延滞日数÷365日

    また、「利率」は納付日によって異なります。たとえば、東京都新宿区の場合は以下のように定められています。

    【東京都新宿区の利率】

    延滞金の割合…「特例基準割合」が定められており、各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に年1%の割合を加算した割合となります。

    A:特例基準割合に年1%の割合を加算した割合(最大で年7.3%)
    B:特例基準割合に年7.3%の割合を加算した割合(最大で年14.6%)

    期間A
    (納付期限から1ヶ月)
    B
    (納付期限から2ヶ月以上)
    平成31年1月1日から
    令和元年12月31日まで
    年2,6%年8,9%
    令和2年1月1日から
    令和2年12月31日まで
    年2,6%年8,9%

    最終的には差し押さえの強制執行

    保険料を滞納し続けていると、法的措置に移行し、財産を差し押さえられてしまいます。

    不動産が差押えられた場合は、債権者の同意(債務の返済)が条件で解除してもらうことになるため、勝手に売買することができなくなります。
    (注意:法律上は督促状の発行日か10日経っても保険料の納付がなければ、差し押さえが可能)

    差し押えによって不動産が競売にかけられることも

    差し押えによる最悪のケースは不動産が競売にかけられてしまうことです。保険料の納付額が非常に大きく、回収できる手段がない場合、不動産が裁判所を通して売却されることがあります。

    競売によって不動産を売却し、その売却益から滞納金を返済します。

    健康保険料の滞納による行政からの差し押さえですぐに競売になることはほとんどありませんが、仮に住宅ローンの支払いも苦しくなったので不動産を売却したいと考えても、行政は勝手に財産を売られては困るため、差押えがあります。

    国民健康保険の滞納の可能性がある場合はすぐに相談を

    普段、気にすることがないため、危機感が少ない相談者も多いですが、最悪の場合、法的措置が取られてしまいます。しかし、止むを得ずに滞納してしまう方もたくさんいます。ここでは対処法をご紹介していきます。

    分割納付を交渉する

    国民健康保険の保険料の納付が難しいと分かった段階で、管轄の自治体に連絡しましょう。

    ご自身の状況や支払い目処を伝えることで、分割払いに応じてくれる場合があります。一時的な支出増や収入減があった場合には、一時的に保険料の負担を減らすことができるため有効です。

    しかし、滞納してから一定期間が経過してしまうと、支払いの意思がないと見なされ、交渉は難しくなるかもしれません。

    保険料の減免を交渉する

    一定の条件を満たす場合、保険料の減免が認められます。

    自治体によって異なりますが、減免の条件として、一般的には以下の条件があります。

    保険料の減免条件

    • 世帯所得の合計が基準額以下になった場合
    • 非自発的失業者(倒産・解雇など)になった場合
    • 退職・廃業・営業不振等になった場合
    • 災害にあった場合
    • 給付制限にあった場合

    心当たりがある方は、まずは自治体の相談窓口に行ってみることをおすすめします。

    他の借金がある方は債務整理を

    国民健康保険以外の借金が家計を圧迫している場合、債務整理をお勧めします。

    債務整理とは国が制定した借金の救済措置です。

    債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産などの方法があります。ご自身の借金の状況によって解決方法が異なり、法的手続きも必要になるため、借金問題に強い弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。

    弁護士や司法書士というとハードルが高いと感じる方も多いですが、借金問題に強い弁護士や司法書士は、当問題に対して理解があり、無料相談や費用の分割払いなど、良心的な事務所もあります。

    借金の問題は、高額な延滞金や差し押さえの可能性があるため、1日も早く解決することが求められます。少しでも不安がある方は、一人で悩まずにすぐに相談しましょう。

    国民健康保険の場合、滞納すると、病気や事故の時にお金がなく診療が受けられない可能性もあるため、きちんと対処しましょう。

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    参考:年収別の国民健康保険料【東京都標準額】

    国民健康保険の保険料は、自治体や年収によって異なります。ここでは負担額の目安をご紹介します。

    滞納して初めて負担額の大きさに気づいたという方も多いようです。資金計画の立て直しのためにも負担目安を確認しておきましょう。

    この他にも国民年金などの支払いがあることを考えると決して少なくない負担です。

    年収39歳以下
    60歳以上74歳以下
    40歳以上59歳以下
    100万円45,691/年
    3,807/月
    59,899/年
    4,991/月
    200万円113,725/年
    9,477/月
    142,375/年
    11,864/月
    300万円168,465/年
    14,038/月
    208,735/年
    17,394/月
    400万円226,333/年
    18,861/月
    278,887/年
    23,240/月
    500万円288,893/年
    24,074/月
    354,727/年
    29,560/月
    600万円351,453/年
    29,287/月
    430,567/年
    35,880/月
    700万円417,141/年
    34,761/月
    510,199/年
    42,516/月
    800万円487,521/年
    40,626/月
    595,519/年
    49,626/月
    900万円557,901/年
    46,491/月
    680,839/年
    56,736/月
    1000万円628,281/年
    52,356/月
    766,159/年
    63,846/月