「借金の時効」に関する詳細は、こちらをお読みください。
ここでは、この借金の時効成立を妨げる事由についてご紹介していきます。
目次
借金の時効には中断事由がある
貸金業者からの借金は、最終返済日から5年が経過すると時効になります。しかし、絶対に時効が成立するわけではありません。
借金の時効には、「中断事由」というものがあるからです。
借りたお金は返さなければなりません。借金の時効が簡単に成立してしまえば、お金を貸した側は泣き寝入りしなくてはなりません。
そのため、お金を貸した側を保護する観点から借金の時効を中断させる手段が法律で認められています。
よって、中断事由に該当するような行為があった場合は、消滅時効が成立することはありません。
なお、「時効の中断」とは、時効期間が一時的に中断するのではなく、「すべてリセットされる」ということです。
例えば、最後の返済から4年11ヶ月が経過し、時効の成立まであと1ヶ月だったとしても、時効が中断してしまった場合、時効期間は再びゼロからスタートします。
借金の中断事由になってしまう行為とは
時効の中断事由になる行為には「債権者から請求があった場合」と「債務者が借金を承認した場合」の2つに分けられます。
債権者から請求がある場合、請求方法によって、時効の中断事由に該当する場合/しない場合があります。
また、債務者が借金を承認する場合、「何を根拠に借金を承認したのか」を判断することが難しい場合があり、裁判で争われることもあります。
ここからはそれぞれの場合について、時効の中断に該当する行為をご紹介していきます。
消滅時効を中断させる請求とは
貸金業者や債権回収会社から受ける「電話」や「催告書」での請求だけでは時効は中断しません。そのまま最終返済日から5年が経過すれば時効は成立します。
しかし、裁判所を介した請求の場合、時効が中断します。
借金の消滅時効で代表的な請求は、「訴状」と「支払督促」です。
貸金業者や債権回収会社から裁判所に訴状が提出されたタイミングで時効が中断します。
この訴状が提出されると、民事訴訟が行われます。裁判所から届いた訴状を無視すると「欠席判決」となり、貸金業者や債権回収会社の言い分どおりの判決が出てしまいます。
また、支払督促が届くと、支払督促申立書の申立したタイミングまで遡って時効中断の効果が生じます。
この支払督促は、通知を受け取った側が2週間以内に異議申立をしない限り、債権者が裁判所に出頭することなく、裁判所が「金何万円を支払え」と命令するものです。これは裁判の判決と同じ効力があり、その利便性から多くの債権者が利用しています。
訴状 | 支払督促 | |
手続き | 業者と滞納者本人が裁判所に出向く必要がある。訴訟の結果、滞納者に返済命令が出されてしまう | 裁判所から「仮執行宣言付き支払督促」が滞納者のもとに送られる。業者や滞納者が裁判所に出向く必要がなく、書類審査のみで滞納者に返済命令が下されてしまう |
提出書類 | 答弁書 | 異議申立書 |
無視した場合 | 訴状に書いてある貸金業者の言い分をすべて認めたことになり、一括払い命令の内容の判決が出てしまう | 債務者の手元に支払督促申立書が届いてから2週間以内に異議が出ない場合には、財産を差し押さえられてしまう |
裁判外の請求と時効の中断
時効を中断させるには、裁判上の請求であることが原則ですが、例外があります。
裁判外の請求でも6ヶ月間は時効の成立を遅らせることができます。
この場合は、時効が中断するわけではなく、時効成立を6ヶ月遅らせるだけです。そのため、その間に、正式に裁判上の請求をしなかった場合には、6ヶ月後に消滅時効が成立します。
実務上は、時効の完成が数日後に迫っている場合に配達証明付の内容証明郵便で時効の完成を阻止して、その後6ヶ月の間に訴訟もしくは支払督促を提起することが多いです。
なお、裁判外の請求による時効の遅延は1回のみ使うことができます。
すでに判決が出ている場合の時効中断
すでに判決が出てしまった場合、消滅時効の成立は判決が確定したときから10年に延長されます。
なお、判決に限らず、裁判上の調停や和解が成立した場合も時効は10年に延長されます。
したがって、判決などを取られている場合でも、判決の確定や和解もしくは調停の成立から10年が経過すれば消滅時効が完成します。
実務上も、債権者が過去に判決を取ったものの、その後も債務者が1度も返済せずに10年以上経過し、消滅時効を援用できることがあります。
消滅時効を中断させる承認とは
借金をしている人による「債務の承認」が、時効の中断事由に一番重要です。
突然、取り立てが来ると、法律知識がないまま焦って対応してしまい、時効の中断事由にあたる「債権の承認」をしてしまうことが多いです。
代表的な承認は、「一部弁済」と「支払猶予願い」です。
一部弁済では、債務者が借金の一部を返済した場合、その人のすべての借金の時効が中断してしまいます。
例えば、200万円の借金がある場合、1円でも返済すると時効は中断してしまいます。
支払猶予では、借金をしている人が貸金業者や債権回収会社に対して、「支払延期願い」などの書面を送付したり、「もう少し待ってください」などと支払猶予のお願いをすることです。
これ以外にも借金を支払う前提で減額交渉した場合なども「債権の承認」になります。
いずれの場合においても、すでに時効が成立しているにもかかわらず、債務者がそれを知らずに一部弁済や支払猶予願いをしてしまっても、消滅時効の主張ができなくなる可能性があるので注意が必要です。
時効が成立した後に返済した場合
貸金業者や債権回収会社は、時効期間が経過した後であっても、借金をしている人の無知に乗じて、催告書などで請求をしてくることがあります。
何も知らない人も多く、取り立てが来ると、焦って対応してしまう人も多いでしょう。
取り立てが来たら、まずは借金の時効を確認した上で、「消滅時効の援用」という法的手続きをしてください。
もし、債務者が「消滅時効の援用せず」に1円でも借金を返済をした場合は、時効が喪失してしまいます。
ただし、状況によっては、債権者からの時効援用権喪失の主張が認められない場合もあります。一律に債務者の時効援用権が喪失するというわけではなく、最終的には裁判で決着をつけることになります。
時効の中断事由のまとめ
貸金業者の借金は5年で時効になってしまうので、通常は債権者も時効が成立する前に裁判や支払督促を提起してきます。なお、裁判上の請求には、訴訟や支払督促以外の給料の差押えなども含まれます。
以下に、民法が定める時効中断事由をまとめておきますが、実際には時効が成立しているかどうかの判断が難しい場合もあり、裁判で争われるような微妙なケースもあるので、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
債権者からの請求 | |
---|---|
債務の承認 | |
差押え、仮差押え、仮処分 |
消滅時効の中断と弁護士・司法書士
中断事由がある場合、債務者は消滅時効の援用をすることができません。
もし、時効成立まであとわずかであれば、時効が成立することを期待して、そのまま様子を見るというのも一つの選択です。
しかし、時効成立まで何年も残っており、返済するだけの収入があるのであれば、そのまま放っておくのではなく、債権者と分割で支払う和解(いわゆる任意整理)をした方が良い場合もあります。
また、消滅時効の主張をするつもりでも、あとで中断事由があることが分かり、時効の援用ができないような場合でも、弁護士や司法書士にお願いしておけば、そのまま借金の返済に関する和解交渉に移行することも可能です。
たとえ中断事由がある場合でも安心です。
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